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2014-04-23
ソース（記事原文）：メドページ・トゥデイ
母体レチノイド値が子の免疫への鍵
メドページ・トゥデイ（2014年4月23日） ― エリザベス・デヴィタ・レイバーン(Elizabeth DeVita Raeburn)著
妊娠中の母体の食餌由来レチノイド量が、成体になってからの二次性リンパ性器官の大きさや、免疫応答の効率をコントロールすることが、マウスの研究で示された。
また、妊娠中の母体の栄養状態が子の健康に影響を及ぼすことはよく知られている。この報告は、リスボン(ポルトガル)の分子医学研究所(Institute of Molecular Medicine)に所属するエンリケ・ベイガ-フェルナンデス(Henrique Veiga-Fernandes)博士とその共著者らが科学誌ネイチャー(Nature)に発表したものである。
一方、胎仔の免疫系の発達に食餌要因が果たす役割はほとんど明らかにされていないという。
著者らによれば、二次性リンパ性器官の発達は、胎仔形成時に起こり、リンパ組織誘導(LTi)細胞という3型自然リンパ球(ILC3)の部分集団に依存している。
マウス胎仔期のリンパ器官は、局所的に成熟LTi細胞に分化するILC前駆細胞を含んでいることが、本研究で著者らによって明らかにされた。
著者らは、この細胞がビタミンA由来レチノイン酸(レチノイン酸)に曝露されると、成熟LTi細胞の発生頻度が増加し「その分ILC前駆細胞が減少する」としており、これはLTi細胞の分化がレチノイン酸によって制御されることを示すものである。
LTi細胞の生成はホルモン受容体RORytを必要とした、と著者らは述べている。レチノイン酸は、RORytをコードするRorc遺伝子のプロモーター領域に、レチノイン酸受容体(RAR)を結合するよう促すことにより、LTi細胞の成熟化を引き起こすことが、研究で示された。
詳細な研究で、子が成人になってからの二次性リンパ性器官のサイズと、免疫応答の効率をコントロールしているのは、母体の食餌由来レチノイドの量であることが証明された。
ある実験では、妊娠中のマウスにレチノイン酸を豊富に含む食餌を与えた。このレチノイン酸補給が、胎仔における成熟LTi細胞の割合を増加させ、ILC前駆細胞数を減少させた、と著者らは述べている。
レチノイン酸シグナル伝達阻害剤BMS493をマウスに投与すると、胎仔の成熟LTi細胞は減少した。
「結果的に、胎仔の大きさは正常でも、BMS493投与により、リンパ節サイズが縮小し、パイエル板の発達不全を招いた」と同氏らは述べている。
本研究者らは、レチノイン酸の欠乏が免疫応答に及ぼす影響を評価するため、ネズミヘルペスウイルス4型を用いて、野生型マウスとレチノイン酸受容体(RAR)切断型ヘテロ接合体マウスに感染させた。
両マウスとも肺感染症を発症した。
切断型レチノイン酸受容体を有するマウス由来胸腔内リンパ節を分析したところ、「ウイルスエピトープORF61およびORF75cに対して特異的なCD8+T細胞の発生頻度は正常であったが、その細胞増殖は抑制されたことが明らかになった」と著者らは述べている。
野生型マウスは10日以内に感染が消失したのに対し、切断型レチノイン酸受容体マウスでは2週間後も依然として高感染価ウイルスが検出された。
著者らは「今回のデータから、感染、場合によっては免疫攻撃に対しての適応免疫応答の効率が、母体由来の食餌シグナルを介して、幼齢期にあらかじめ調整される可能性のあることが示された」としている。
パリのパスツール研究所(Pasteur Institute)に所属するジェラルド・エバール(Gerard Eberl)博士は本論文の付随論説で「母体は食物由来ビタミンAの吸収とそのレチノイン酸への変換の両方に関与している可能性のあることが本論文から示唆される」としている。
今回の結果が、公衆衛生上の栄養障害に及ぼすの影響は「計り知れない」とエバール氏は述べている。
母体および小児期のビタミンA欠乏症は 重度の身体障害の原因となる可能性があり、貧困地域の小児期予防接種キャンペーンを脅かすものである、と同氏は述べている。
その上、「喫煙と飲酒量は共にビタミンA欠乏症に関連するため、飲酒または喫煙する妊婦は、子供に免疫発達不全を移すリスクが高い」と同氏は補足した。
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