シャルトップは、異なる働きをする2つの成分を配合することで、効果的な発毛を促進する脱毛症の治療薬です。
男性型脱毛症(AGA)は、強力な男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)の影響で毛髪の生え変わりのサイクルが短くなり、充分に成長する前に抜けてしまう状態です。額の生え際から後退していくタイプ、頭頂部から薄くなるタイプ、これらが混合したタイプなどの進行パターンはさまざまで、一般には遺伝や生活習慣が主な原因と考えられ、30代以降にみられることが多いようです。
海外では『ロゲイン』また日本では『リアップ』の有効成分であるミノキシジルは、男性型脱毛症の治療に効果を発揮するとして米国食品医薬品局(FDA)で承認されている成分です。本来は高血圧の治療薬として使用されていましたが、その副作用として頭髪を含む体毛が成長し、また脱毛症の改善が認められたため、改めて脱毛症の薬として研究、開発されたという経緯があります。発毛・育毛効果を発揮する機序はまだ詳しくは解明されていませんが、この薬が本来持つ血行促進や改善作用が毛根を刺激して栄養を与えるためという説や、ミノキシジルのたんぱく合成促進作用が休止期の毛包を初期成長期に移行させる効果があるため、という説などがあります。
実際、男女とも数ヵ月の使用で25%に毛髪の成長が認められたほか、5%濃度のミノキシジルでは51%の男性に頭頂部の脱毛に改善が見られ、そのうち19%が中等度かそれ以上の改善効果があったとの試験結果も出ています。ところがミノキシジル使用による新たな発毛は、毛が細くて色が薄いことが多く、また頭頂部には効果が認められる一方で、生え際には効果がほとんどないとされています。詳しい理由はわかっていませんが、ミノキシジルの発毛効果以上に男性型脱毛症による脱毛の速度が速いためではないかと考えられています。
このミノキシジルの効果を高めると言われている成分のひとつが、ビタミンAの誘導体であるトレチノイン(レチノ酸)です。一般的には皮膚の新陳代謝を早める作用を持つことから、主にニキビ、シミ、シワなどを改善する目的で使用されています。頭皮から浸透したトレチノインは、
1.コラーゲンに作用して新しい細胞を形成、頭皮の新陳代謝を活発にし、
2.血管の新生、頭皮の血流促進が毛根を刺激し、発毛・育毛に適した頭皮環境を整え、
3.頭皮の表皮細胞を活発に分裂させて成長を促進するため、
皮膚のたんぱく質ケラチンの量が減り、毛穴への皮脂の目詰まりが起こりにくくなる、ほか、ジヒドロテストステロン(DHT)への変換を阻害、ミノキシジルと同様効果の発揮などにより、ミノキシジルの発毛効果を促進すると言われています。さらにトレチノインと併用した場合、ミノキシジルの吸収が約3倍高くなるとの報告もあります。
なおトレチノインの作用により肌のバリア機能が低下するため、シャルトップは夜に使用するようにしてください。またトレチノインは催奇性などの副作用が認められているため、妊娠中または妊娠している可能性がある人は絶対に使用しないようにしてください。