以下の場合、エストラドット50を絶対に使用しないでください。
・エストロゲン依存性腫瘍(乳がん、子宮内膜がんなど)およびその疑いのある人: 腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがあります。
・乳がんの既往歴のある人: 乳がんが再発することがあります。
・血栓性静脈炎や肺塞栓症のある人、またはその既往歴のある人: エストロゲンは凝固因子を増加させ、血栓形成傾向を促進するとの報告があります。
・動脈性の血栓塞栓疾患(例えば、冠動脈性心疾患、脳卒中)またはその既往歴のある人
・エストラドット50の成分に対し過敏症の既往歴のある人
・妊婦または妊娠している可能性のある人および授乳婦
・重篤な肝障害のある人: 代謝機能が低下しており肝臓への負担が増加するため、症状が増悪することがあります。
・診断の確定していない異常性器出血のある人: 出血が子宮内膜がんによる場合は、がんの悪化あるいは顕性化を促すことがあります。
・ポルフィリン症で急性発作の既往歴のある人
【慎重使用】
・子宮筋腫のある人: 子宮筋腫の発育を促進するおそれがあります。
・子宮内膜症のある人: 卵胞ホルモン剤単独の長期使用により、子宮内膜過形成の危険性を増加させたとの報告があります。
・乳がん家族素因が強い人、乳房結節のある人、乳腺症の人または乳房レントゲン像に異常がみられた人: 症状を悪化させるおそれがあります。
・高血圧、心疾患、腎疾患のある人またはその既往歴のある人: エストロゲンの過量使用では体液貯留をきたし、これらの疾患を悪化させるおそれがあります。
・糖尿病の人: 耐糖能を低下させるおそれがあるので充分管理を行ないながら使用してください。
・片頭痛、てんかんのある人: 症状を悪化させることがあります。
・肝障害のある人: 症状を悪化させるおそれがあります。
・術前または長期臥床状態の人: 血液凝固能が亢進され、心血管系の副作用の危険性が高くなることがあります。
・全身性エリテマトーデスの人: 症状を悪化させるおそれがあります。
【重要な基本的注意】
・外国において、卵胞ホルモン剤と黄体ホルモン剤を長期併用した女性では、乳がんになる危険性が対照群の女性と比較して高くなり、その危険性は併用期間が長期になるに従って高くなるとの報告があるので、エストラドット50の使用にあたっては、リスクとベネフィットについて充分に理解し、最小限の使用にとどめ、漫然と長期使用を行なわないようにしてください。
・使用前に病歴、家族素因などの問診、乳房検診ならびに婦人科検診を行ない、使用開始後は定期的に乳房検診ならびに婦人科検診(子宮を有する人においては子宮内膜細胞診および超音波検査による子宮内膜厚の測定を含む)を行なってください。
・卵胞ホルモン剤の長期使用により、肝腫瘍が発生したとの報告があります。
・貼付部位に皮膚症状(紅斑、そう痒、色素沈着など)を起こすことがあります。このような場合は貼付部位を変更してください。
・経皮吸収が悪い人では、エストラドット50を使用してもエストラジオール吸収が不充分なため、更年期症状が持続することがあります。効果が認められない場合はエストラドット50の使用を中止し、ほかの卵胞ホルモン含有薬剤に変更するなど、適切な処置を行なってください。
【その他の注意】
・黄体ホルモン剤の併用については、以下のいずれかの方法で行なうことが望ましいとされています。
1.エストラドット50:持続使用、黄体ホルモン剤:持続使用
連続してエストラドット50と黄体ホルモン剤を使用します。この方法でエストラドット50と黄体ホルモン剤を併用したとき、出血頻度は当初71%でしたが、36週目ごろより低下し、52週時においては55%になったとの報告があります。
2.エストラドット50:28日、黄体ホルモン剤:10-14日間
黄体ホルモン剤を併用して毎月10-14日間使用します。エストラドット50は通常持続して使用しますが、休薬することも可能です。この方法でエストラドット50と黄体ホルモン剤を併用したとき、周期的に出血がみられ、その頻度は約73-93%であったとの報告があります。
・ホルモン補充療法(HRT)と子宮内膜がんの危険性
卵胞ホルモン剤を長期間(約1年以上)使用した閉経期以降の女性では、子宮内膜がんになる危険性が対照群の女性と比較して高く、この危険性は使用期間に相関して上昇し(1-5年間で2.8倍、10年以上で9.5倍)、黄体ホルモン剤の併用により抑えられる(対照群の女性と比較して0.8倍)との疫学調査の結果が報告されています。
・HRTと乳がんの危険性
1.米国における閉経後女性を対象とした無作為化臨床試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤使用群では、乳がんになる危険性がプラセボ群と比較して有意に高くなるとの報告があります。並行して行なわれた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独使用群では、乳がんになる可能性がプラセボ群と比較して有意差はないとの報告があります。
2.英国における疫学調査の結果、卵胞ホルモン剤と黄体ホルモン剤を併用している女性では、乳がんになる危険性が対照群と比較して有意に高くなり(2倍)、この危険性は、併用期間が長期になるに従って高くなる(1年未満:1.45倍、1-4年:1.74倍、5-9年:2.17倍、10年以上:2.31倍)との報告があります。
・HRTと冠動脈性心疾患の危険性
米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤使用群では、冠動脈性心疾患の危険性がプラセボ群と比較して高い傾向にあり、特に服用開始1年後では有意に高くなるとの報告があります。並行して行なわれた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独使用群では、冠動脈性心疾患の危険性がプラセボ群と比較して有意差はないとの報告があります。
・HRTと脳卒中の危険性
米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤使用群では、脳卒中(主として脳梗塞)の危険性がプラセボ群と比較して有意に高くなるとの報告があります。並行して行なわれた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独使用群では、脳卒中(主として脳梗塞)の危険性がプラセボ群と比較して有意に高くなるとの報告があります。
・HRTと認知症の危険性
米国における65歳以上の閉経後女性を対象とした無作為化臨床試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤使用群では、アルツハイマーを含む認知症の危険性がプラセボ群と比較して有意に高くなるとの報告があります。並行して行なわれた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独使用群では、ハルツハイマーを含む認知症の危険性がプラセボ群と比較して有意ではないが、高い傾向がみられたとの報告があります。
・HRTと卵巣がんの危険性
1.卵胞ホルモン剤を長期間使用した閉経期以降の女性では、卵巣がんになる危険性が対照群の女性と比較して高くなるとの疫学調査の結果が報告されています。
2.米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤使用群において、卵巣がんになる危険性がプラセボ群と比較して有意ではないが、高い傾向がみられたとの報告があります。
・HRTと胆のう疾患の危険性
米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤使用群において、胆のう疾患になる危険性がプラセボ群と比較して有意に高くなるとの報告があります。並行して行なわれた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単動使用群では、胆のう疾患になる危険性がプラセボ群と比較して有意に高くなるとの報告があります。
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、状態を観察しながら慎重に使用してください。
妊婦または妊娠している可能性のある人は使用しないでください。
授乳中の人は使用しないでください。