ギノカジン・ドシエルジェル0.06%は、更年期障害および卵巣欠落症状に伴うほてりや発汗などの血管運動神経症状の治療に使用するエストラジオール外用ゲル剤です。
エストロゲンは卵胞ホルモンとも呼ばれる女性の卵巣内の卵胞から分泌されるホルモンで、ストロン、エストラジオール、エストリオールの3種類に大きく分けることができます。中でもエストラジオールはエストロンの5倍、エストリオールの10倍と言われるほど強い活性を持ち、乳房のふくらみ、子宮内膜を厚くすることによる月経周期のコントロールといった女性の二次性徴を促進するほか、丸みをおびた体つき、コラーゲンの合成による柔軟な皮膚組織やつややかな肌など、女性らしさの発達に大きくかかわっています。さらに骨、血管、肝臓、脳などの全身に分布しているエストロゲン受容体に作用して骨形成の促進および維持に携わっているほか、血流の促進、脂質代謝の促進によるコレステロール増加の抑制、自律神経のバランスの調整、脳細胞の活性化などといった作用も持ち合わせていることが知られています。
このホルモンは10代半ばから40代前半といった思春期から成熟期にかけて分泌量が増加し、女性の体を妊娠や出産に適した状態に維持しますが、40代半ばあたりから卵巣機能の衰えと共に減少し、やがて最後の月経から1年間生理がない状態が続くと、卵巣における卵胞が消失したとされ、事実上の閉経に入ったと考えます。この閉経を挟んだ前後5年の10年間を一般に更年期と呼び、ホルモンのバランスがくずれるためにホットフラッシュ(ほてり)、のぼせ、発汗、動悸、だるさ、疲れやすさなど、更年期障害と呼ばれる症状が引き起こされるようになります。
いずれも女性ホルモンが減少、または分泌しなくなることで更年期障害の症状を呈するため、この減少したホルモンを人工的に補い、更年期障害の症状を軽減させることを目的とした治療法がホルモン補充療法(HRT)です。HRTには内服薬やパッチなどがあり、それぞれに特徴がありますが、ギノカジン・ドシエルジェル0.06%は、皮膚に塗布して体内に女性ホルモンを吸収させるタイプのエストラジオール外用ゲル剤です。
経皮吸収剤のメリットとしては肝初回通過効果を受けないことが挙げられ、さらにギノカジン・ドシエルジェル0.06%はゲル状の塗布剤であるために安定した血中濃度が得られ、皮膚刺激が少なく、肌の上に残らないなどの剤形的な特徴も期待されています。