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2011-04-21

くすり屋さんオリジナル記事

痛風発作時に尿酸降下薬を開始すると関節炎が悪化?

「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第2版)」によれば、未治療(尿酸降下薬を未投与)の場合に起きた痛風発作(痛風関節炎)では、尿酸降下薬を新たに開始することで発作が悪化するか長引くため、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)パルス療法が薦めされているそうだ。ただし、発作前から尿酸降下薬を飲んでいる場合は、そのまま飲み続け、NSAIDパルス療法と併用する。(1)

 

非ステロイド抗炎症薬(NSAID)パルス療法とは?

ナプロキセンやプラノプロフェン(痛み止め/抗炎症薬)を投与する治療のことで、痛みが軽くなったら中止される。ナプロキセンの場合であれば,1日目のみ比較的多めに服用(300mgを3時間ごとに3回まで)し、翌日以降は通常の量を服用する。

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ナプロシン(ナプロキセン) 250mg

また、非ステロイド抗炎症薬が使用できない場合、又は無効な場合、もしくは多発関節炎の場合は、代わりに副腎皮質ステロイド(グルココルチコイド)を投与する(1)。経口薬プレドニゾロンなどの商品がある(2)。

 

尿酸降下薬について

尿酸降下薬には2種類ある。A)尿酸排泄促進薬(ベンズブロマロン、プロベネシド、ブコローム)と、B)尿酸生成抑制薬(アロプリノール)である。どちらを投与するかは高尿酸血症の病型(尿酸合成過剰型・尿酸排泄低下型)によって決まるので、病院での検査が必要である。(1)

一般にA)尿酸排泄促進薬は、尿酸排泄低下型(腎臓で尿酸が排泄されにくいタイプ)に用いられ、B)尿酸生成抑制薬は、尿酸産生過剰型(肝臓で尿酸が過剰に産生されるタイプ)に使用される。腎・尿管結石、腎障害、その他の合併症がある場合は医師に相談が必要。(1) 日本では尿酸合成過剰型が約2割、尿酸排泄低下型が約6割、両者の混合型が約2割を占めている(4)。

B)くすり屋さんが扱う尿酸生成抑制薬:

アポ・アロプリノール (アロプリノール)100mg

ザイロリック (アロプリノール)100mg

 

尿酸降下薬の使用上の注意

尿酸降下薬を服用していなかった場合の痛風発作では、痛みが治まってから2週間後ぐらいに尿酸降下薬(ベンズブロマロン12.5mgまたはアロプリノール50mg)を開始することが推奨されている(1)。急激に尿酸値が低下すると痛風発作を誘発することがあるので、少量から開始し徐々に増量する。初回発作で尿酸値が7.0mg/dl台であれば、薬物投与しないこともあるが、結節があれば投与が必要となる(2)。

尿酸降下薬の投与開始初期は少量のコルヒチンを併用投与すると,痛風関節炎の発症を防止することができる(1)。ただし、コルヒチンは発作の予兆を感じたときに1錠(0.5mg)のみ用い、痛風発作中に投与しないこと(2)。コルヒチンの副作用には、嘔気、嘔吐、下痢がある(2)。

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コーヒーや乳製品で痛風発症リスクが低下

アルコール飲料や砂糖入りソフトドリンクなどのようにリスクを増大させるものがある一方で、痛風発症リスクの低下と尿酸値の低下をもたらすものに、乳製品・コーヒー・ビタミンC(果糖を除く)がある(2)。ビタミンCを多く含む野菜には、赤ピーマンなどがある。

これ以外にも尿をアルカリ化する食品に、こんぶ・ひじき・ワカメなどがあり、こうしたものを主として食事に取り入れる尿アルカリ化療法がある(3)。

また、プリン体含有量の多い食品は極力控えることが推奨されている。高プリン食には鶏・豚・牛レバー、イサキ白子、あんこう肝酒蒸し、カツオ、大正エビ、サンマ干物、マイワシ、マアジ干物などがある (1)。ただし、高プリン体を含む野菜については、痛風発症との関連性なし(2)。

 

関節に出来た尿酸結晶は徐々になくなる?

尿酸降下薬により尿酸塩結晶の除去が可能だと考えられているが、これまでのところ関節内の尿酸塩血症が完全に除去されたことを証明する確実な手段はない。尿酸降下薬は尿酸値が正常化しても即時に中止すべきではなく、長期投与が必要となる。定期的に血液・尿検査を行うこと。(2)

2010年1月1日に株式会社メディカルレビュー社より出版された日本痛風・核酸代謝学会の「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第2版)」は、医療情報サービス Minds(マインズ)HP上で閲覧可能となっている(1)。

ガイドラインとは、標準的な治療を示すものであるが、必ずしもガイドライン通りの治療を行うわけではなく、各患者の症状に合わせた治療計画が立てられるので、担当医に相談のこと。

 

 

参考文献

(1) Minds(マインズ) 日本痛風・核酸代謝学会編/医療・GL(10年)/ガイドライン
(2)「ガイドラインに基づく高尿酸血症・痛風の治療」東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター教授谷口敦夫氏
(3)「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版」新ガイドラインを実地診療に活かすためのフローチャート(東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科教授)細谷龍男氏
(4) 慶應義塾大学病院_痛風・高尿酸血症


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