レボフロックス750は、さまざまな細菌に対して抗菌作用を示すニューキノロン系合成抗菌薬で、抗生物質と同様に主に感染症の治療に使用されます。
感染症は、細菌やウイルスなどの微生物が体内に侵入して繁殖することで起きるさまざまな症状で、インフルエンザ、B型肝炎、性病、HIV、結核、狂犬病なども感染症に含まれます。その感染ルートは人から人、動物や虫から、傷口から、食べ物からなど多種多様で、感染しても症状が現われないものもあれば、場合によっては死に至る重い症状が出るものもあります。
感染症の原因となっている細菌は、自身の複製を作ることで増殖しますが、この過程を阻害する働きを持つのが抗菌薬です。
抗菌薬はその作用機序により何種類かに分類されおり、そのうちレボフロックス750の有効成分であるレボフロキサシンは、細菌のDNA(デオキシリボ核酸)の複製に関わる酵素を抑えることで増殖できないようにし、殺菌作用を発揮するニューキノロン系に属します。
その抗菌スペクトルは幅広く、偏性嫌気性菌(酸素分子のない環境下でのみ生育可能な菌)を含むグラム陽性菌(厚い細胞壁を持つ菌で、ブドウ球菌、レンサ球菌、腸球菌など)およびグラム陰性菌(細胞に外膜を持つ菌で、大腸菌、緑膿菌、インフルエンザ菌など)に対して作用し、呼吸器感染症、尿路感染症、皮膚感染症、腸管感染症など各種感染症に有効性が確認されていますが、ウイルスに対する効果はありません。
レボフロキサシンをはじめとするニューキノロン系抗菌薬は、薬剤と菌が接している時間を長くするよりも、菌と接する薬剤の濃度を高くした方が殺菌作用を増強させられる、いわゆる「濃度依存性」の抗菌薬として知られています。そのためレボフロックス750は、分割服用ではなく1日1回の服用が推奨されています。
またレボフロキサシンは比較的副作用が少ないとされているほか、セフェム系やペニシリン系、マクロライド系の抗生物質とは作用機序が異なるため、これらに耐性を示す菌にも有効性が期待されている抗菌薬です。
・適応菌性
レボフロキサシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、炭そ菌、大腸菌、赤痢菌、サルモネラ属、チフス菌、パラチフス菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、ペスト菌、コレラ菌、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、ペプトストレプトコッカス属、アクネ菌、Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)
・適応症
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)、外傷・熱傷および手術創などの二次感染、乳腺炎、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、ぼうこう炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、尿道炎、子宮頚管炎、胆のう炎、胆管炎、乾癬性腸炎、腸チフス、パラチフス、コレラ、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎、外耳炎、中耳炎、副鼻腔炎、化膿性唾液腺炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎、炭そ、ブルセラ症、ペスト、野兎病、Q熱