レボトップ・ピー・エフ点眼液5mlは主に結膜炎、麦粒腫(ものもらい)、眼瞼炎、角膜炎などの治療に使用する、耐性菌の出現抑制を目的に開発されたニューキノロン系の抗菌目薬です。数多くの菌に対する殺菌効果以外に、増殖を抑制する効果もあります。
結膜炎、麦粒腫、眼瞼炎、角膜炎は、いずれも細菌に感染することで起こります。例えば汚れた手で目をこする、コンタクトレンズの洗浄が充分でない、などの原因のほか、前髪が目にかかっていたり、化粧の際などにつけた角膜の傷から細菌が入りこんで感染することも多いようです。
この細菌感染が、白目と上下まぶたの裏にある薄い透明な粘膜である結膜で起こった場合を細菌性結膜炎といいます。主に結膜の充血、目やにが主な症状ですが、感染する細菌の種類によってはほかの症状が出ることもあります。
麦粒腫は、別名ものもらいとも呼ばれ、まぶたにある分泌腺に細菌が感染して炎症を起こしてはれ、痛みやかゆみを伴った状態のことです。
また、まぶた、レンズの役割をする角膜に起こるそれぞれの炎症を、眼瞼炎および角膜炎と言い、眼瞼炎ではまぶたに起こる赤み、発疹、ただれ、潰瘍、かさぶたが、そして角膜炎では目の痛み、充血、視力低下、異物感、流涙、かすみ目などの症状が現われます。
細菌は細胞分裂をしながら増殖していきます。細胞分裂とは1つの細胞が2つ(またはそれ以上)に分かれる現象で、その分裂した細胞はそれぞれに同じ性質や構造を持っていますが、この分裂の際の原本となるのがDNA(遺伝子)です。
DNAは本来二本鎖の構造を持っており、自身の複製を作成する際には、まずこの構造を一本鎖へとほどきます。そして、それぞれのDNAを鋳型として新しいDNAを作成した後に、新旧のDNAが対になった新たな二本鎖DNAを構成します。
DNA二本鎖の切断・結合には特殊な酵素が深く関わっていますが、この酵素の作用を阻害するのがニューキノロン系の抗菌薬で、レボトップ・ピー・エフ点眼液5mlの有効成分であるレボフロキサシンです。
レボフロキサシンが持つ酵素活性阻害作用により、細菌はDNA二本鎖を一本鎖にほどけなくなるために自身の複製を合成することができず、その結果として細菌は増殖を阻止され、死滅します。
なおレボフロキサシンが属するニューキノロン系は、薬剤と菌が接する時間を長くするよりも、菌と接する薬剤の濃度が高いほうが耐性菌の発生を抑え、殺菌作用が増強することが知られています。レボトップ・ピー・エフ点眼液5mlは、現時点(2011年12月)で最高濃度のレボフロキサシンを含んだ点眼液で、すぐれた眼組織移行を持つほか、症状の早期消失が大いに期待できます。
・適応菌種
レボフロキサシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、ミクロコッカス属、モラクセラ属、コリネバクテリウム属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、インフルエンザ菌、ヘモフィルス・エジプチウス(コッホ・ウィークス菌)、シュードモナス属、緑膿菌、ステノトロホモナス(ザントモナス)・マルトフィリア、アシネトバクター属、アクネ菌
・適応症
眼瞼炎、涙嚢炎、麦粒腫、結膜炎、眼板腺炎、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、眼科周術期の無菌化療法