ダイアン 35 は、有効成分として酢酸シプロテロン2mgとエチニルエストラジオール0.035mgを配合する低用量ピルです。ジネット(Ginette)やスシィー(Sucee)などの名前でジェネリックが販売されています。
ダイアン 35の有効成分の一つである酢酸シプロテロン(黄体ホルモン)はアンドロゲン(男性ホルモン)の働きを抑制する効果があり、もう一つの有効成分、エチニルエストラジオールは女性ホルモン(合成卵胞ホルモン)の一種です。これらの成分によって妊娠を防止することができます。
ダイアン 35を正しく服用すると、その間は排卵が起こらなくなります。また、子宮膜の状態を非準備状態のまま維持することで、卵子の着床が難しくなるという効果があります。(つまり、妊娠している状態を擬似的に作り出します)
また、ダイアン 35によってホルモンのバランスを整えることにより、生理期間が長い人の場合、それを短くする、生理の経血量を少なくするなどの効果PMS(月経前緊張症、月経前症候群)の症状を緩和するなどの効果も報告されています。
PMS(月経前緊張症、月経前症候群)は月経前の7~10日間に起こり、月経とともに消失する不快な症状を指します。主な症状として、むくみ、倦怠感、イライラ、吐き気、頭痛、腰痛、腹痛などがあげられます。
加えて、ダイアン 35の特殊な副作用として近年注目を集めているのが、ニキビ、脂漏症、多毛症(ムダ毛)、男性型脱毛等の改善、そして、更年期障害を軽くする、バストアップ、アンチエイジング(抗老化作用)などの効果です。ダイアン 35を避妊用ピルとして服用し始めた人たちがかなりの割合で、肌がきれいになったと実感しているとの報告があります。(但しダイアン 35はあくまでも女性の為に作られた薬で、男性が使用すると不妊症になるなどの副作用が考えられる為、使用は勧められていません)
女性におけるニキビ、脂漏症、多毛症、男性型脱毛等の症状は、男性ホルモンのバランスが影響しています。このダイアン 35には、男性ホルモンの活動を強く阻害する効果があるため、女性における男性化の兆候であるそれらの症状を改善することができます。
とくにダイアン 35によるニキビの治療効果は、既に海外で臨床試験によって検討されており、多くの改善効果が確認されています。臨床試験の結果においては、3ヶ月で約40%、12ヶ月で約90%の改善が認められたというデータもあります。
もちろん使用にあたっては、従来の副作用にも注意しなくてはなりませんが、ニキビの改善・治癒においても充分な効果が期待できると考えられます。
そして、更年期障害を軽くする、バストアップ、アンチエイジング(抗老化作用)などの効果はエチニルエストラジオール(女性ホルモン)による効果だと考えられています。
ダイアン 35は多くの国でとても一般的に販売されているものの、日本ではまだ認可されていません。
その為、保険は利かず、利用する場合は個人輸入か、自由診療をしている医師に処方してもらう必要がありますが、自由診療を利用した場合、診療費も含め高額になるのが一般的です。(例えば自由診療をしているある病院では、診療費を含め、1ヶ月分が約6,000円で処方されています。)