オフロックス点眼・点耳液0.3%は、1本で外眼部や中耳・外耳に発症した細菌感染による眼瞼炎、麦粒腫、結膜炎、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、外耳炎、中耳炎などの炎症症状を緩和するニューキノロン系抗菌薬です。
外眼部は、まぶたと、白目の前面を覆っている薄い透明な組織の結膜、黒目の部分の外側にある薄い透明な組織である角膜の部分を、また外耳は、耳穴の入口から奥にある薄い鼓膜まで、中耳は鼓膜より奥の部分で鼻の奥の耳管とつながっている部分をそれぞれ指します。これらの部分に何らかの原因で傷ができ、細菌が入り込んで増殖すると炎症が起き、眼の場合は、充血、目やに、涙、痒み、腫れ、うみ、白目充血など、耳の場合は、耳痛、発熱、鼓膜のはれ、耳だれ、などの症状が現われます。ほかにも痒みや、耳閉感、耳鳴り、難聴の症状が現れることもあります。
感染の原因はさまざまで、外眼部の場合はゴミ、砂、植物の枝葉などが眼に入り込んだり、コンタクトレンズの装着時など日常生活の些細な出来事でできる傷、また中耳・外耳部の場合は、耳かきなどでできた傷から細菌が入り込んで感染するほか、水浴び、プール、お風呂などで汚れた水が耳にしみ込んで外耳道炎になったり、風邪などが原因となって、鼻の奥の耳管から膿が中耳に入り込んで炎症を起こし、中耳炎になることもあります。
これらの外眼部や中耳、外耳に起きた細菌感染の炎症を緩和するのがオフロックス点眼・点耳液0.3%です。有効成分のオフロキサシンは、オキサジン環を有することを特徴とする国産ニューキノロン系抗菌剤で、ほかのニューキノロン系と同様に細菌のDNA複製、転写、修復に深く関わるDNAジャイレースの働きを阻止することで、細菌の増殖抑制・殺菌作用を発揮します。このDNAジャイレースは、細菌のDNA複製時にらせん状DNAを一旦解いて複製後に再び元の形状に折りたたむ働きをする、細菌の増殖には欠かせない酵素です。オフロキシンによってDNAの複製を阻害された細菌は、それ以上の増殖ができなくなり、やがて死滅します。この働きにより、炎症の痒みや痛みなどの症状が抑制され、眼瞼炎、麦粒腫、結膜炎、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、や外耳炎、中耳炎の症状が緩和されます。そのほか、眼科周術期の無菌化療法にも使用されることがあります。
それまでのキノロン薬には無かったフッ素原子を母核構造に持つニューキノロンは、好気性グラム陰性桿菌への活性を強化し、なおかつグラム陽性球菌へも抗菌スペクトラムを拡げているだけでなく、体内動態が向上して代謝されにくく、適応症状が飛躍的に改善したことが特長です。開発以降、各科領域で感染症治療薬として開発が進み、最初は経口薬のみだったのが、点眼・点耳薬、注射薬、皮膚外用薬などとして幅広く使用されるようになりました。
オフロキサシンはニューキノロン系の中では比較的初期に開発され、点眼薬においてはその有用性が幅広く認められていますが、点耳薬においても耳毒性が無く、抗菌範囲も充分で有用性が高く、全身的影響も少ないことから小児にも活用できるため、耳鼻咽頭科領域で幅広く使用されています。