アポ・クラリスロマイシン250mgは、マクロライド系の抗生物質です。
マクロライド系抗生物質は、抗生物質の中では比較的副作用が少ないとされており、適応する細菌の幅が広いのが特長です。特にダニやしらみなどが媒介となって発疹チフスなどを発症させるリケッチア、性病のひとつであるクラミジアなどの細胞内寄生菌や、細胞壁を持たないマイコプラズマに対しては第一選択薬となることが多いようです。しかしこの細菌に対する適応の広さが原因となり、マクロライド系抗生物質に対して耐性を持つ微生物が増えてきているという報告があります。
最初にマクロライド系抗生物質として発見されたエリスロマイシンは、マクロライド系抗生物質の中でも最も抗菌力が強いとされていますが、その反面で分解物が胃腸障害などの副作用に関与し、また血中濃度が上がらないという欠点がありました。
アポ・クラリスロマイシン250mgの有効成分であるクラリスロマイシンはこのエリスロマイシンの誘導体で、体内で吸収された後にエリスロマイシンとして作用するため、胃酸に対して安定性があり、また組織移行性が優れていることが特長です。
細胞が増殖するときは、それぞれの細胞のDNAにある遺伝情報を元に「リボゾーム」と呼ばれる細胞小器官でたんぱくを合成して新しい細胞をつくり出します。クラリスロマイシンは、この細胞リボゾームにある50Sサブユニットと呼ばれる部分で行なわれるたんぱく合成を阻害し、細菌細胞の増殖を防ぐ働きがあります。
クラリスロマイシンの作用は主に静菌的であり、細菌を殺すというよりはその増殖を抑える作用のほうが強いとされていますが、高濃度においてはインフルエンザ菌、肺炎球菌、淋菌など一部の菌に対して殺菌的作用を示します。
またエリスロマイシンとは異なり、クラリスロマイシンはそのほとんどが腸から吸収されるという吸収のよさに加え、白血球などの食細胞に蓄積する作用により能動的に病変部に輸送され、全身の組織内では血中濃度の10倍以上の濃度を得ることができます。さらに半減期の長さもエリスロマイシンの数倍に相当するため、高い効果が期待できます。
これらを総合的に評価して、マクロライド系抗生物質の中でも最も抗菌力が強いとされているエリスロマイシンよりも、ほぼすべての点においてクラリスロマイシンは優れていると考えられています。
クラリスロマイシンは以下の菌種、症状に効果を発揮します。
1.一般感染症
・適応菌種
アポ・クラリスロマイシン250mgに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌、レジオネラ属、カンピロバクター属、ペプトストレプトコッカス属、クラミジア属、マイコプラズマ属
・適応症
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷および手術創などの二次感染、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、尿道炎、子宮頚管炎、感染性腸炎、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎
2.非結核性抗酸菌症
・適応菌種
アポ・クラリスロマイシン250mgに感性のマイコバクテリウム属
・適応症
マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症を含む非結核性抗酸菌症
3.胃潰瘍・十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ感染症
・適応菌種
アポ・クラリスロマイシン250mgに感性のヘリコバクター・ピロリ
・適応症
胃潰瘍・十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ感染症