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2013-01-13

ソース(記事原文):エイズマップ

ナイジェリア(アフリカ):抗レトロウイルス療法の第一選択薬としてテノホビルを用いる利点が薬剤耐性データにより判明

エイズマップ(2013年1月23日)― キャラル・リーチ-ルメンズ(Carole Leach-Lemens)著

ウイルス学的応答欠如のリスクが高いナイジェリアのHIV感染者で、テノホビル(TDF)をベースとした一次治療を受けている患者は、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NRTI)耐性変異が少なく、二次治療での高活性型NRTI薬の選択肢が多くなることが、医学誌「エイズ(AIDS)」の先行オンライン版で研究者らによって報告された。

マリアン・エティベット(Mary-Ann Etiebet)氏らによれば、175の保管血液検体における遡及的な遺伝子解析において、二次治療に用いるNRTI薬の選択肢が2種類以上ある患者は、テノホビルをベースとした治療を受けている患者で70%であったのに対し、アジドチミジン(AZT)をベースとした治療を受けている患者では40%であり、有意差(p=0.04)が認められた。

世界保健機関(WHO)のガイドラインでは、一次治療においてラミブジン(3TC)またはエムトリシタビン(FTC)と併用使用するのに望ましいヌクレオシド類似体(NRTI)として、テノホビルまたはアジドチミジン(AZT)を現時点で推奨している。WHOの指針では、一次治療薬としてテノホビルを選択するのが望ましいと考えており、その理由はニ次治療におけるチミジン類似体NRTI薬(アジドチミジン[AZT]およびスタブジン[d4T])への感受性が維持されるからというものであるが、今回のナイジェリアの研究結果はこれを裏付けるものである。

しかし、テノホビルまたはアジドチミジン(AZT)をベースとした一次治療に関連する薬剤耐性パターンや、それが医療資源の乏しい環境で二次治療への反応に与える影響について比較しているデータは限られている。

ナイジェリアは世界で2番目にHIVが多い国である。このHIVの蔓延は、流行株サブタイプGと組換型流行株02_AG(CRF)によるものが大部分を占めている (CRF[組換型流行株02_AG]とは感染者の細胞中に認められる2種類のウイルスの異なる亜型が混じり、新しいハイブリッド[混合種]ウイルスが形成されたものである) 。

サブタイプBは、今までヨーロッパ、アメリカ、日本、およびオーストラリアで最も多くみられている。一方、サブタイプGおよびCRF A/Gは、西・東アフリカおよび中央ヨーロッパでみられている。

HIV薬剤耐性検査は、医療資源の乏しい環境では現在利用できない。同著者らの指摘によれば、抗レトロウイルス療法に曝露されたBサブタイプ以外の変異における遺伝子の違いが、薬剤耐性パターンの一因となっている可能性があるという証拠が示されている。つまり、ナイジェリアにおける多様なHIV亜型(サブタイプ)集団の変異は、第二選択薬に交差耐性(同系統の薬剤への耐性)を示す可能性がある。

同著者らは、治療不成功を確認するための目標付けウイルス量検査を受け、かつ非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)療法を施行された患者の保存血液検体を用いて、遺伝子型の配列解析を行う断面調査を試みた。

本試験は、ヒトウイルス学・ナイジェリア研究所(IHVN:Institute for Human Virology-Nigeria)が支援する施設で実施された。IHVNは、「ナイジェリアのエイズケア&治療(ACTION:AIDS Care and Treatment in Nigeria)」というプログラムを通じて、公衆衛生分野の患者6万人以上に抗レトロウイルス療法を提供している。

試験対象者の基準:2006年11月~2007年12月にウイルス量検査を受けていること、18歳過ぎであること、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)をベースとした治療を受けているが、プロテアーゼ阻害薬(PI)をベースとした治療は受けていないこととした。

ケアおよび治療の手順はナイジェリアの国内ガイドラインに従った。このプログラムを通じて6通りの一次治療が処方された:1-2)アジドチミジン、ラミブジン、およびネビラピンかエファビレンツ(AZT/3TC/NVPまたはEFV)、3-4)スタブジン、ラミブジン、およびネビラピンかエファビレンツ(d4T/3TC/NVPまたはEFV)、5-6)テノホビル、エムトリシタビン、およびネビラピンかエファビレンツ(TDF/3TC/NVPまたはEFV)。

この一次治療は、NRTI(ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬)の種類(アジドチミジン[AZT]、スタブジン[d4T]、テノホビル)により分類された。

成人患者349人から採取した血液検体のウイルス量を測定し、1,000コピー/mLを超えるものは遺伝子型を決定することとした。そのうちの30検体には増幅が認められなかった。

遺伝子型を決定した175検体のうち、ほとんどがサブタイプG(42.9%)とCRF02_AG(33.7%)であった。患者は中央値で27ヵ月間の抗レトロウイルス療法を受けており、CD4細胞数の中央値は128個/mm3(四分位範囲:60~229)であった。

遺伝子型を決定した検体のうち、14%にはアジドチミジン(AZT)が投与されており、21%にスタブジン、13%にはテノホビル、52%に2剤以上のNRTI(ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬)が投与されていた。

94%には1個以上のNRTI変異が認められ、62%には1個以上のチミジン類似体変異がみられたが、これらの変異はスタブジン(d4T)またはアジドチミジン(AZT)への耐性を付与するものである。患者の90%にはラミブジン(3TC)耐性に関連するM184V/I変異がみられ、14%にはテノホビル耐性に関連するK65R変異が認められた。

アジドチミジン(AZT)またはスタブジン(d4T)をベースとした治療と比較して、テノホビルをベースとした治療を受けていた患者は、スタブジン(d4T)またはアジドチミジン(AZT)に対する感受性を保持するような耐性パターンを持つ傾向が有意に強かった(p<0.02)。また、その57%(13/23)ではサブタイプBウイルスにおいて比較的稀なK65R変異が認められた。

これと同程度のK65R変異の保有率が、テノホビルをベースとした治療に不成功であった患者において認められることが、非Bサブタイプを検討した他の試験で報告されている。

著者らの指摘によれば、テノホビルは部分的な活性を示すものだが、K65R変異がM184V変異と同時発生すると活性が強化される。「M184V変異は、テノホビルをベースとした治療のうち最も多い(14/23)変異であり、平均ウイルス量がより低いことに関連する唯一の変異である。M184V変異を持つウイルスは複製能力が低く、この変異の存在は服薬遵守(アドヒアランス)に関連するのではないかと考えられる」

テノホビルをベースとした治療を受けた患者は、チミジン類似体変異を有する割合が低かった。K65R変異を有する患者ではチミジン類似体変異を生じる割合が12%であったのに対し、K65R変異のない患者では70%であった。

多変量解析において、サブタイプ、抗レトロウイルス療法歴、CD4細胞数、およびウイルス量で補正すると、テノホビル(TDF)をベースとした治療では3個以上のNRTI変異を認める割合が低かった(オッズ比=0.04、p<0.001)。

100個を超えるCD4細胞数は、複数のNRTI変異を独立的に防御した。

遺伝子型を決定した検体の97%にはNNRTI変異が1個以上みられ、47%にはエトラビリンに関連した変異が2個以上認められた。

著者らは「医療資源の乏しい環境では、第二選択薬の有効性を維持するため、ウイルス量検査を行うことが必須である」と結論付けている。


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