テンビルEMは、HIV-1感染症(ヒト免疫不全症-1型)のための薬で、日本ではツルバダ配合錠として日本たばこから販売されている薬のジェネリックです。
テンビルEMの2つの有効成分であるテノホビルジソプロキシルフマル三塩とエムトリシタビンは、逆転写酵素を阻害する事により、HIVウイルスの増殖を抑える働きを持っています。
HIVは、ヒトの免疫細胞に感染し免疫細胞を破壊して、最終的にはAIDS(後天性免疫不全症候群)を発症させるウイルスです。
HIVウイルスは、霊長類を自然宿主とするサル免疫不全ウイルスが、突然変異によってヒトへの感染性を持ったと考えられていますが、主な分類は、HIV-1型(チンパンジーから分離されたSIVcpzに近い物)とHIV-2型(サルから分類されたSIVmacやSIVsmmに近い物)に分けられます。
HIVウイルスは非常に変異しやすく、ウイルスの表面抗原がぞれぞれ違うと言えるほど多種多様な型があるため、それらに合わせてワクチンを作成するのは困難です。特定ウイルス抗原に抗体を作るワクチンを作成する事ができたとしても、すぐに変異ウイルスが出現してしまい、実用化する事ができないのが現状です。
しかし、感染経路が性的感染症(感染者との性行為により性器、腸粘膜、膣粘膜、口腔粘膜などに眼に見えないほどの傷や摩擦創ができ、そこからHIVウイルスを持つ精液、膣分泌液、血液が入り感染する)・血液感染(感染者の血液が傷、輸血、血液製剤、麻薬注射の使いまわしなどで体内へ入る事により感染する)・母子感染(母親が感染者の場合、妊娠中の胎盤、出産時・産道出血、授乳から感染する)と明確であるため、感染知識を得る事で未然に予防する事ができるほか、通常の環境では非常に弱いウイルスであることから、一般的な社会生活において感染者と暮らした場合でも、まず感染する事ありません。