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2011-09-06
ソース(記事原文):メールオンラインヘルス
埋め込み型デバイスで薬を徐放し副鼻腔の閉塞を解消
メールオンラインヘルス(2011年9月6日)―パット・ヘーガン(Pat Hagan)著
抗炎症薬を放出して徐々に溶け出す微小なインプラントが、蓄膿症に対する根治的な新規治療になりうるとして支持されている。
このデバイスは米粒ほどの大きさで、外科医が挿入するものである。
閉塞した鼻腔の壁でデバイスが開き支えられた状態になると、少量のフランカルボン酸モメタゾンを徐々に放出する。同剤は枯草熱(季節性鼻アレルギー)に対する鼻腔スプレーに用いられることのあるステロイド薬である。
1ヶ月~6週間後、デバイスは無害なまま血流に溶け出し、腎臓を通じて体外へ排出される。
この画期的なインプラントは、慢性の副鼻腔疾患に対する手術を受ける患者に使用するよう設計されている。
通常、これらの患者には、手術後に閉塞が再発する原因となりうる炎症を抑えるために、数週間から時には数ヶ月にわたり高用量のステロイドを経口投与する必要がある。
しかし、高用量の経口投与は、副鼻腔に到達する前に薬剤が体中を循環してしまうことになり、骨粗鬆症、体重増加、気分障害、白内障などの潜在的副作用の原因となる。
患部に薬を直接送達することで、副鼻腔内の組織の吸収量が増加し、体内の他の部位を損傷するリスクが低下する。
副鼻腔炎になる原因は、頭蓋骨内部にある空気が充満する小さな空洞(副鼻腔)が、風邪や枯草熱または歯肉感染により閉塞した場合に、副鼻腔内の圧力が上昇することにある。
英国では年に最高300万人が発症すると考えられており、複数の研究から軽症には程遠いものであるが示され、痛みや不快感を引き起こし関節炎などと同じぐらい症状が悪く、不自由な状態となることがある。
副鼻腔の空洞には4つある。最も大きい2つは、頬骨の真後ろにある上顎洞と、前頭部の真後ろにある前頭洞である。
一部の専門家らは、副鼻腔疾患が増加していると考えており、その理由は鼻と副鼻腔の敏感な内膜組織が、冷暖房による環境の持続的変化を受け続けた結果で、現代的な生活環境が原因であるとしている。
より乾燥した屋内環境では、粘液の産生が少なくなる。粘液は鼻腔に侵入するアレルギー抗原や刺激物質を捕捉したり死滅したりするのに重要である。
これらの刺激物質がいったん入り込むと、副鼻腔内膜に炎症を引き起こし、感染症の原因となる。
これにより、顔の圧痛、拍動性頭痛、疲労、口臭が生じるほか、閉塞が感覚にまで影響を及ぼすと味覚・嗅覚の消失が生じる。
症例の3分の2では、感染症は2週間で自然に消失する。鎮痛剤やうっ血除去薬は、鼻詰まりを解消するのに有用である。
一方、3分の1の患者は、慢性の副鼻腔炎になり、副鼻腔と鼻に微小な病変(ポリープ)が生じることがあり、気流が遮断される。
ポリープが、ステロイドのスプレーによる治療に効果を示さなければ、外科手術で切除し、続いて再発を阻止するために高用量のステロイドを投与する必要がある。
しかし、プロペル(Propel)インプラントと呼ばれる新しいデバイスなら、この措置をもっと安全に行うことが可能かもしれない。
最近行われた試験で、外科医らが、5人の篩骨洞(両目の間にある空洞)にインプラントを挿入し、38人にはダミーを挿入した。
アレルギー学・鼻科学の国際フォーラム(International Forum of Allergy and Rhinology)で発表された今回の結果では、プロペル・デバイスにより、手術から数週間後、副鼻腔の炎症が統計学的に有意な減少を認めたことを示した。
このデバイスを細長い探針(先の丸まった細い棒)を用いて鼻孔に挿入する。閉塞部位に到達するまでは圧縮された状態のままである。外科医がデバイスを離すと直ぐに、副鼻腔壁で開き支えられたような状態になる。
プロペルを挿入された患者のほうが、60日後のポリープの再発も少なく、血液検査からステロイド薬が体中に広まっておらず副鼻腔の範囲内にとどまっていることが認められた。
米国食品医薬品局(FDA)によりプロペル・インプラントの使用が承認されたので、今後2年以内に英国で利用可能となるだろう。
ケント州クランブルックのベネンデン私立病院(Benenden Hospital)の耳鼻咽喉の専門家アンドルー・メレディス(Andrew Meredith)博士は、「この新デバイスは副鼻腔疾患の手術後の管理に用いられる可能性がある」と述べている。
「しかし、今後の研究を確認する必要がある。1つ欠点となりうるのは、手術後によく見られる出血時にも使用できるのかどうかである。なぜなら、出血によりデバイスが外れ、吸収されるステロイドの量が減少する可能性があるからである」
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