フェリス- S 20mgはレクサプロ 20mgのジェネリックです。
フェリス- Sは、有効成分にシュウ酸エスシタロプラムを配合した、SSRI(セロトニン再取り込み阻害剤)系の抗うつ剤です。
シュウ酸エスシタロプラムは、アメリカ、ヨーロッパにおいて許認可され、発売されています。日本では持田製薬が開発中ですが、未だ厚生労働省の許認可には至っていません。
フェリス- Sの有効成分であるシュウ酸エスシタロプラムは、シタロプラムの光学異性体(分子式は異なるが、構造式が異なる)であるS鏡像体のみで構成されているものです。
抗うつ作用に影響する受容体に対し結合する効果を持っているのはS鏡像体であると言われており、ほかの鏡像体などが存在しない分、効率よく反応することができ、少量での処方で充分な効果が発揮されると考えられています。
これまで、抗うつ剤で実績があったのは、三環系や四環系と呼ばれる第一世代、第二世代の抗うつ剤でした。
これらの抗うつ剤は非選択性と言われ、セロトニンとノルアドレナリンの再取り込み阻害作用を持っています。
そのため副作用が強く、口の渇き・便秘・眠気・起立性低血圧など、患者のQOL(クオリティーオブライフ/生活の質)を損なう可能性がありました。
しかし、第三世代の抗うつ剤として開発されたSSRIは、セロトニンを選択的に阻害するため、効果は従来どおりであるにもかかわらず、第一世代、第二世代の抗うつ剤に比べて副作用がはるかに少ないという画期的な性質を持っています。
ところがSSRIにも「効果の発現に時間がかかる」という欠点があります。一般的にSSRIなどの選択性抗うつ剤は、服用開始から効果の発現までに2週間程度の時間がかかると言われています。
この問題を解決したのがシュウ酸エスシタロプラムで、SSRIとしての副作用の少なさと、服用後比較的早期に効果が期待できるという点で注目を集めるようになりました。
フェリス- Sの効能としては、うつ病・抑うつ状態・パニック障害・全般性不安障害など従来のSSRIと同じですが、うつ病の再発防止にも効果を発揮します。また、このほかにも、ほかの治療法への依存性を抑制するためにも使用されます。
このように、レクサプロ(シュウ酸エスシタロプラム)は海外で注目を集め、世界での売上高を見ると、2007年度のSSRI系の薬としては1位、抗うつ剤全体の中でも2位(1位はSNRI系のエフェクサー)と、非常に幅広く利用されているにもかかわらず日本では現在のところ許認可が下りていないため、販売されていません。(2009年1月現在)