以下の場合、ビーナット100を絶対に服用しないでください。
・ビーナット100の成分に対し過敏症の既往歴のある人
・妊婦または妊娠している可能性のある人
【警告】
ビーナット100の服用は、緊急時に充分対応できる医療施設において、がん化学療法に充分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ服用してください。また治療開始に先立ち、有効性および危険性を充分に理解してから服用を開始してください。
【慎重服用】
・肝障害のある人: 代謝機能が低下しているため、ビーナット100の体内濃度が上昇する可能性があります。また肝障害が悪化するおそれがあります。
・高齢者: むくみが現れやすいとされています。
・心疾患またはその既往歴のある人: 症状が悪化するおそれがあります。
【重要な基本的注意】
・消化管間質腫瘍の人では、ビーナット100の服用によって腫瘍の急激な壊死・縮小をきたし腫瘍出血、消化管穿孔などが現われることがあるので、定期的に血液検査などを実施し、初期症状としての下血、吐血、貧血、腹痛、腹部膨満感などの観察を充分に行なってください。異常が認められた場合には、ただちに腹部CT検査などを実施して出血部位、穿孔所見の有無の確認を行ない、必要に応じて服用を中止し、適切な処置を行なってください。
・ビーナット100の服用によって、体液貯留(胸水、肺水腫、腹水、心膜疹浸出液、心タンポナーデ、うっ血性心不全)が現われることがあるので、体重を定期的に測定するなど観察を充分に行ない、ビーナット100の服用中に急激な体重の増加、呼吸困難などの異常が認められた場合には服用を中止し、利尿剤を服用するなど、適切な処置を行なってください。
・ビーナット100の服用によって、重篤な肝機能障害が現われることがあるので、服用開始前と服用後は1ヵ月ごと、あるいは状態に応じて肝機能検査(ビリルビン、AST、ALT、およびALPなど)を行ない、異常が認められた場合には減量または休薬してください。
・ビーナット100の服用中は、定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画など)を行なってください。またビーナット100の服用によって、白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血が現われることがあるので、血液検査は服用開始前と服用後の1ヵ月間は毎週、2ヶ月目は隔週、またその後は2-3か月ごとに行なってください。これらの血球減少は疾患の病期にも依存し、慢性期慢性骨髄性白血病に比べて移行期慢性骨髄性白血病や急性期慢性骨髄性白血病の人での頻度が高くなっています。重篤な好中球減少または血小板減少が現われた場合は減量または休薬してください。
・ビーナット100の長期服用時における安全性は確立されていないので、長期服用にあたっては観察を充分に行なってください。
・めまい、眠気、霧視などが現われることがあるので、高所作業、自動車の運転など危険を伴う機械を操作する際には注意してください。
・慢性骨髄性白血病、消化管間質腫瘍、好酸球増多症候群および慢性好酸球性白血病の治療では、ほかの抗悪性腫瘍剤との併用服用における安全性は確立されていません。
フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病の治療において、イマチニブと高用量抗悪性腫瘍剤の併用によりトランスアミナーゼ上昇および高ビリルビン血症を示す一過性の肝毒性があらわれることがあり、また急性肝不全の報告もあることから、肝機能障害を起こすおそれのある抗悪性腫瘍剤と併用する場合は観察を充分に行なってください。
・好酸球増多症候群または慢性好酸球性白血病にイマチニブを使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議公知申請への該当性に係る報告書:イマチニブメシル酸塩(FIP1L1-PDGFRα融合遺伝子陽性の慢性好酸球性白血病および特発性好酸球増多症候群)」など)を熟読してください。
【効能または効果に関連する使用上の注意】
・慢性骨髄性白血病については、染色体検査または遺伝子検査により慢性骨髄性白血病と診断された人が使用してください。
・消化管間質腫瘍については、免疫組織学的検査によりKIT(CD117)陽性消化管間質腫瘍と診断された人が使用してください。なお、KIT(CD117)陽性の確認は、充分な経験を有する病理医または検査施設において実施してください。
・急性リンパ性白血病については、染色体検査または遺伝子検査によりフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病と診断された人が使用してください。
・好酸球増多症候群または慢性好酸球性白血病については、染色体検査または遺伝子検査によりFIP1L1-PDGFRα要請であることが確認された人に使用してください。
【用法および用量に関連する使用上の注意】
・消化管刺激作用を最低限に抑えるため、ビーナット100は食後に多めの水で服用してください。
・慢性骨髄性白血病については、重篤な有害事象がなく、白血病に関連がない重篤な好中球減少や血小板減少が認められず、下記に該当する場合はビーナット100を増量することができます。
1.病状が進行した場合(この場合はいつでも)
2.ビーナット100を少なくとも3ヵ月以上服用しても、充分な血液学的効果が見られない場合
3.これまで認められていた血液学的効果がみられなくなった場合
・ビーナット100を服用中に肝機能検査値(ビリルビン、AST(GOT)、ALT(GPT))の上昇、好中球減少、血小板減少が認められた場合は以下の表を参考に服用量を調節してください。
慢性骨髄性白血病(CML)、消化管間質腫瘍(GIST)、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)、好酸球増多症候群(HES)または慢性好酸球性白血病(CEL) |
ビリルビン値/AST(GOT)、ALT(GPT)値 |
服用量調節 |
慢性期CML、移行期CMLまたは急性期CML、GIST、Ph+ALL、HESまたはCEL |
ビリルビン値>施設正常値上限の3倍
または
AST、ALT値>施設正常値上限の5倍 |
①ビリルビン値が1.5倍未満に、AST、ALT値が2.5倍未満に低下するまでビーナット100を休薬します。
②ビーナット100を減量して治療を再開します。 |
・血液検査と用量調節
ビーナット100服用中に好中球減少、血小板減少が認められた場合は以下の表を参考に使用量を調節してください。
慢性骨髄性白血病(CML)、消化管間質腫瘍(GIST)、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)、好酸球増多症候群(HES)または慢性好酸球性白血病(CEL) |
好中球数/血小板数 |
服用量調節 |
HESまたはCEL(初回用量100mg/日) |
好中球数<1000 /mm3
または
血小板数<50000 /mm3 |
①好中球数1500/mm3以上および血小板数75000/mm3以上に回復するまで休薬します。
②休薬前(重度の副作用の発現前)と同用量で治療を再開してください。 |
慢性期CML、GIST(初回用量400mg/日)、HESまたはCEL(用量400mg/日) |
好中球数<1000 /mm3
または
血小板数<50000 /mm3 |
①好中球数1500/mm3以上および血小板数75000/mm3以上に回復するまで休薬します。
②400mg/日で治療を再開します。
③再び好中球数が1000/mm3を下回るか、または血小板数が50000/mm3を下回った場合は、①へ戻り、300mg/日で治療を再開してください。 |
移行期CML、急性期CMLまたはPh+ALL(初回用量600mg/日) |
※注1
好中球数<500 /mm3
または
血小板数<10000 /mm3 |
①血球減少が白血病に関連しているか否かを確認(骨髄穿刺)します。
②白血病に関連しない場合は400mg/日に減量します。
③血球減少が2週間続く場合はさらに300mg/日に減量します。
④白血病に関連しない血球減少が4週間続く場合は好中球数が1000/mm3以上および血小板数が20000/mm3以上に回復するまで休薬し、その後300mg/日で治療を再開します。 |
注1:原則として、少なくとも1ヵ月治療を継続後(全身状態に充分注意してください) |
【その他の注意】
・ビーナット100との関連性は明確ではありませんが、海外からの報告でビーナット100服用中に骨壊死が発現したとの報告があります。
・海外からの報告で、レボチロキシン補充療法を受けている甲状腺摘出者において、ビーナット100服用中に甲状腺機能低下症が現われたとの報告があります。
一般に高齢者では、生理機能が低下しているので減量するなど注意してください。
外国臨床試験では、軽度、中等度の表在性浮腫の発現頻度は65歳以上の高齢者で若年者より高いとの成績が報告されています。(カプセル剤のデータ)
妊婦または妊娠している可能性のある人は服用しないでください。また妊娠可能な女性は避妊するようにしてください。外国において流産や奇形を有する児の出産が報告されています。
乳汁中に移行するとの報告があるため、授乳中の人は授乳を中止してください。
低出生体重児、新生児、乳児、幼児または小児に対する安全性は確立していません。
小児が使用した場合、成長遅延が報告されています。