トバDM点眼薬5mlは、アミノグリコシド系抗生物質のトブラマイシンと副腎皮質ホルモンのデキタメタゾンを配合した点眼薬です。細菌による感染の予防と治療には効果を発揮しますが、それ以外の感染症に対する効果はありません。
細菌は、土や水の中などをはじめ、動物や人間の皮膚、消化管、生殖器、気道など、ありとあらゆる場所に存在している単細胞の微生物です。人間の口腔内だけでも約600種類もの細菌が存在していると言われていますが、人間に棲みついている細菌のうち害をおよぼすものは全体のわずか数パーセントとされており、それ以外は人間にとって有益、もしくはまったく影響をおよぼしません。
これらの細菌が何らかの原因によって目に感染した場合、例えば結膜に感染すると結膜炎、角膜に感染すると角膜炎となります。統計によると、いちばん多いのが結膜炎で、目の感染症全体の約3分の2を占めていると言われ、その後は麦粒腫、涙嚢炎、眼瞼炎、角膜炎と続きます。
コンタクトレンズ、汚れた手で目をこする、ゴミや異物が目に入る、などで感染することが多く、代表的な症状として目の赤み、かゆみ、痛み、はれなどが起こります。
細菌によるこれらの感染症の予防や治療に有効なのが、トバDM点眼薬5mlです。配合された2種類の有効成分のうち、トブラマイシンは細菌の成長を妨げる抗生物質です。薬剤としてのトブラマイシンは、グラム陽性菌、グラム陰性菌に広く作用し、特に変形菌と緑膿菌に対する作用が強いアミノグリコシド系抗生物質に属し、細菌が増殖する際にそのたんぱく質の合成を阻害することで抗菌作用を発揮し、殺菌します。
グラム染色による分類により、青く染まる菌を陽性菌、ピンクの場合は陰性菌と呼びます。グラム陽性菌は、厚い層におおわれており、化学的な作用における抗力が弱く、比較的抗生物質が効きやすい細菌です。 その一方で、グラム陰性菌はほとんどの細菌性感染症の原因となる細菌で、物理的要因や温湿度要因に対してはあまり強くありませんが、化学物質から護る外膜を持っているために、抗生物質が効きにくいという特徴を持っています。
続いてもうひとつの有効成分のデキサメタゾンは、強力な作用を持つステロイド系抗炎症薬で、毛細血管透過性亢進、血管拡張、非血管性平滑筋収縮などの因子と同様に、種々の化学走化物質の産生を抑制します。
細菌などの異物が体内に侵入すると、これを認識して素早く攻撃しようと働きかけるのが白血球の役割のひとつですが、この際に起こるのが炎症です。デキサメタゾンは、この炎症の原因となる白血球などが炎症部位への移動するのを阻止することでも、抗炎症作用を発揮します。
なおデキタメタゾンの抗炎症作用は、同じく副腎皮質ホルモンであるプレドニゾロンの約6倍、またヒドロコルチゾンの約25倍と言われています。