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2014-07-02
ソース（記事原文）：サイエンス・デイリー
テストステロン治療は心発作リスクを増加せず：研究報告
サイエンス・デイリー（2014年7月2日） ― 出典：テキサス大学医学部ガルベストン校(University of Texas Medical Branch at Galveston)
米国の高齢男性におけるテストステロン処方率は過去10年で3倍に増えている。最近の研究でテストステロン使用と心発作・脳卒中リスク増加が関連付けられ、患者やその家族に懸念が広まっている。高齢男性25,000人以上を対象とした米国ベースの新規研究で、テストステロン治療を行っても男性の心発作リスクは増加しないことが明らかにされた。
本研究は、テキサス大学医学部(UTMB)ガルベストン校の研究者らが実施し、最長8年間のテストステロン補充療法を受けた66歳以上のメディケア受給者25,420人について調査したものである。結果は、医学誌アナルズ・オブ・ファーマコセラピー(Annals of Pharmacotherapy)7月2日号に掲載された。
主任研究著者で、UTMB予防医学・地域保健部門疫学準教授のジャック・バイラージョン(Jacques Baillargeon)博士は「テストステロン補充療法が男性の心血管疾患(特に心発作や脳卒中)リスクを増加させるという懸念が米国および世界的に広まっていることが、今回の調査を行うに至った動機である」としている。「こうした懸念は、1件の臨床研究と2件の観察研究の結果に基づくもので、ここ数年で増大している」と同氏は述べている。「しかし、テストステロン使用に伴う心発作リスクの増加はないというエビデンス総体(証拠の全体を評価し統合したもの)が存在し、我々の結果とも一致している点に留意する必要がある」
近年、テストステロン補充療法の市場は年16億ドルまでに成長した。これは男性がテストステロン低値による補充を目的に、筋緊張や性的欲求を高めうる医薬品に頼っているためである。過去の安全性確認では、矛盾する結果が示されている。ごく一部の研究でテストステロンが心発作のリスク増大に関連することが示唆されているが、批評家はこれらのデータの質に疑問を呈している。医師、研究者、政府機関は、さらなる研究が必要ということで意見が一致している。
米国食品医薬品局(FDA)は6月20日、テストステロン製品の添付文書に静脈血栓リスクについての一般的な警告を追加する決定を下した。また、FDAと欧州医薬品庁(European Medicines Agency)は同製品の安全性を詳しく調査している。このFDAの最新警告が出される直前、テストステロン治療薬の製造業者であるアボット・ラボラトリーズ社(Abbott Laboratories)、アッヴィ社(AbbVie)、イーライリリー社(Eli Lilly)、ファイザー社(Pfizer)、アクタビス社(Actavis)が、テストステロン補充治療薬の使用上のリスクを隠蔽したとする訴えに基づき、連邦裁判所において広域係属訴訟を起こされたという発表があった。
今回のUTMB新規研究では、臨床的および社会経済的に多種多様な全米患者データのうち、1997～2005年にテストステロン補充療法を受けた人におけるメディケア(高齢者医療保険)の登録・請求データが検討された。テストステロン補充療法を受けていない男性のうち、年齢・人種・メディケイド受給資格・健康状態が同じ人を、比較対照群として用いた。
この解析結果から、テストステロン補充療法が心発作リスク増加に関連しないことが示された。さらに、心血管系の問題を生じやすいテストステロン使用者は、テストステロン未使用の対照者よりも心発作の発生率が低かった。
バイラージョン氏は「これは多数の患者を対象とした厳密な解析である」としている。「今回の結果から、高齢男性におけるテストステロン使用と心発作リスク増加の関連性は示されなかった」と続けた。「しかし、大規模ランダム化臨床試験を実施することで、こうしたリスクに関する一層明確な結果が今後数年のうちに得られるだろう」と補足した。
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