アンドリオール40mgは、臨床徴候や生化学的検査によりテストステロン欠乏症と診断された男性の性腺機能低下症や、末期女性性器の疼痛緩和、手術不能の乳がんなどに対するテストステロンの補充療法に使用する内服薬です。
テストステロンは主に男性の睾丸でつくられる男性ホルモンのひとつで、筋肉の増大、骨格の発達、男性器の成長など男性らしい肉体や精子の生成などに関与し、特に男性の第二次性徴には欠かすことができません。成人以降も筋肉や骨の形成、造血機能、性機能、脂質代謝など全身のさまざまな生理的な活性を促す働きを担うほか、攻撃性などのアクティビティを高める作用があることも知られています。ちなみに女性においても男性の20分の1ほどの量が卵巣から分泌されており、陰毛の発毛のほか性機能、骨密度、筋肉量、認知機能および気分のために不可欠であるとされています。
男性は女性の閉経のようにホルモンが急激に減少することはありませんが、一般に30歳ごろから徐々にテストステロンが減少し始めるほか、先天性要因または加齢、疾患、外傷、薬物などの後天性の因子が原因となって減少することがあります。これにより生殖腺の機能が低下した状態を性腺機能低下症と呼びます。発症する時期が小児期か成人期で症状が異なり、前者の場合は二次性徴がない、不完全な成長による低身長などがみられます。また後者における男性の場合では、性に対する関心の低下、インポテンス、除脂肪体重の低下、骨密度の低下、気分および活力レベルの低下などの生理学的変化が起こり、さらに高齢男性においては性機能不全、性欲低下、筋肉量低下、骨密度低下、抑うつ気分、および認知機能の低下につながる可能性があると言われ、男性更年期障害(LOH)を引き起こすこともあると考えられています。
男性の性腺機能低下症の治療はタイプにより異なりますが、その主な治療方法のひとつとして男性ホルモン補充療法があります。経口剤、注射剤、皮膚吸収剤などの種類があり、アンドリオール40mgはこのうち内服タイプのホルモン補充剤に属します。しかしながらテストステロンは経口では摂取されず、また注射で体内に投与した場合でも肝臓での代謝によって活性を失うという性質があります。そこでアンドリオール40mgはテストステロンの分子構造を変え、親油性を高めてその欠点を改良したことで体内への進入に成功しました。摂取後は、食物脂質として小腸からリンパ腺に吸収されて体内を循環するため、肝臓に大きな障害を与えることなくテストステロンとしての機能を発揮します。
なおアンドリオール40mgは治療目的以外にも、筋肉増強やアスリートのパワーアップのために用使用されることがあります。そのような目的で服用する場合には、あらかじめ医師や薬剤師に相談するようにしてください。