チャンピックスはバレニクリン酒石酸塩を有効成分とする禁煙補助剤です。アメリカではチャンティックスという名前で販売されています。
チャンピックスの製造元であるファイザーは、約3ヵ月のチャンピックスの使用後、44%の人が禁煙に成功したと報告しています。
チャンピックスはタバコを吸いたいという気持ちを抑え、禁煙によるニコチンの離脱症状を軽減します。また、チャンピックスを服用中に喫煙すると、タバコを吸って得られる満足感が薄れてきます。
今まで禁煙補助薬として発売されてきた、貼るタイプの薬(禁煙パッチ)やニコチンガムは、ニコチンを含んでおり、禁煙中にニコチンの離脱症状を和らげることにより禁煙に効果をあげていましたが、このチャンピックスにはニコチンは全く含まれていません。
チャンピックスの有効成分であるバレニクリン酒石酸塩はニコチンに似た構造を持ち、ニコチン依存ニューロン(ニコチンに依存する神経細胞)であるα4β2ニコチン受容体に結合します。
バレニクリン酒石酸塩がニコチン受容体に結合すると、シナプス(ニューロン間の接合部)の末端から軽度にドーパミンという脳内物質を放出させます。
正確には、ニコチンが受容体に結合したときから比べて34%程度のドーパミンを放出させる刺激を与えます。
これが禁煙によるニコチンの離脱症状を軽減し、ニコチンが少し入ったのと同等の満足感が得られ、タバコを吸いたくなる気持ち、ニコチンへの渇望感が薄れてきます。
従来の禁煙補助剤では、この渇望感を和らげるために、少量のニコチンをガムやパッチで体内に吸収させる方法がとられてきました。
これらの方法は所詮ニコチンそのものを摂取し続けているので、止めるとまたタバコのニコチンが欲しくなる場合が多く、残念ながら禁煙成功率は非常に低くとどまっているようです。
それに対してチャンピックスはニコチンを含んでいないので、ニコチンそのものの体内感覚をなくしつつ渇望感も和らげる効果をあげる事ができるため、画期的な禁煙補助剤と言えます。