ジプロゾン軟膏0.05%は、湿疹、皮膚炎、痒疹、虫さされ、乾癬、円形脱毛症などの症状を改善するステロイド外用薬です。
ステロイドとは副腎皮質ホルモンのことで、副腎にある髄質と皮質からそれぞれ別のホルモンが分泌されますが、このうち皮質から放出されるグルココルチコイドには強力な抗炎症作用と免疫抑制作用があります。このグルココルチコイドの効果を増強し、人工的に合成したものがステロイド外用薬で、分子のサイズが小さく脂溶性であるために皮膚から急速に吸収され、高い即効性を発揮するという特徴を持っています。
細胞が炎症を起こすと、そこでプロスタグランジンやロイコトリエンという物質が合成され、細胞外に放出されます。すると白血球や免疫系の細胞が集まり、ヒスタミン、サイトカインなどといったさまざまな物質を分泌することで腫れや痛みなどの炎症反応が起こります。
この働きを抑え、炎症反応を緩和させる働きを持つのがジプロゾン軟膏0.05%です。有効成分のジプロピオン酸ベタメタゾンは、皮膚から速やかに浸透して細胞に到達すると、細胞内のグルココルチコイド受容体というたんぱく質と結合し、その後に細胞の核に運ばれます。このジプロピオン酸ベタメタゾンが結合したグルココルチコイド受容体がさまざまな遺伝子に結合することで、プロスタグランジンやロイコトリエンなどを合成するための酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX)の減少、またこれらの物質の材料となるアラキドン酸の生成を抑制する働きを持つリポコルチンの増加などに関与し、強い抗炎症作用を示します。
ステロイド外用薬はその強さから5段階に分類されていますが、ジプロピオン酸ベタメタゾンは遺伝子をターゲットとし、その働きをコントロールしてアラキドン酸、シクロオキシゲナーゼといった炎症の原因となる物質そのものを根絶することで強い抗炎症作用を発揮するため、「非常に強力」なステロイド外用薬として位置付けられています。
ジプロゾン軟膏0.05%は外用薬であるため全身性の副作用や臓器に対する副作用はほとんど現われないとされていますが、長期使用により皮膚が薄く、弱くなったり、発疹などが起こることもあり、また使用方法によっては全身投与した場合と同じ副作用が出現する場合もあります。
ステロイド外用薬の使用は非常に注意を要するため、使用に際しては医師や薬剤師の指示を受けるようにしてください。
・効能または効果
湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬を含む)、乾癬、掌蹠膿疱症、紅皮症、薬疹・中毒疹、虫さされ、痒疹群(じんましん様苔癬、ストロフルス、固定じんましんを含む)、紅斑症(多形滲出性紅斑、ダリエ遠心性環状紅斑、遠心性丘疹性紅斑)、慢性円板状エリテマトーデス、扁平紅色苔癬、毛孔性紅色粃糠疹、特発性色素性紫斑(マヨッキー紫斑、シャンバーグ病、紫斑性色素性苔癬様皮膚炎)、肥厚性瘢痕・ケロイド、肉芽腫症(サルコイドーシス、環状肉芽腫)、悪性リンパ腫(菌状息肉症を含む)、皮膚アミロイドージス、天疱瘡群(ヘイリーヘイリー病を含む)、類天疱瘡(ジューリング疱疹状皮膚炎を含む)、円形脱毛症