シムラップ20mgは、ヒドロキシメチルタリルCoA(HMG-CoA)レダクターゼ還元酵素阻害薬で、血中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)値を下げることによる高脂血症の治療薬です。
運動療法や食事療法による治療では不十分な場合に、主に狭心症様発作性前胸部痛(胸の痛み)、脳卒中、心臓発作や心疾患の治療に用いられます。
高脂血症とはコレステロールや中性脂肪と言った脂質が血液中に異常に増加し、総コレステロール値が220mg/dl以上、中性脂肪(トリグリセリド)値が150mg/dl以上の状態を指します。
高脂血症自体による自覚症状はまったくありませんが、長期化によって血管内壁に脂質が沈着し動脈硬化を進行させ、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞などの冠状動脈疾患を引き起こすため、高血圧と同様にサイレントキラーと呼ばれています。
狭心症様発作性前胸部痛とは、心臓への血液の供給が不足することによって起こる胸部の強い痛みであり、胸部の圧迫感を伴います。
これは、血管が狭まったために起こる冠状動脈疾患が痛みの原因です。
そして血管を狭める原因となるのが血中の悪玉コレステロールです。
痛みは胸部のみならず肩や腕、首、顎、そして背中に起こる場合もあります。
血管が完全に塞がれてしまうと心臓発作が起こります。
狭心症様発作性前胸部痛の原因である冠状動脈疾患は、心不全や不整脈の原因でもあります。心不全は、心臓が体に血液を送れない状態であることを指し、不整脈は心拍のリズムやスピードが乱れている状態を指します。
脳卒中とは、脳へ通じる血管が詰まることにより、脳への血液の供給が乏しくなり、その結果脳細胞が死んでしまう状態を指します。
血管を詰まらせる原因の一つに悪玉コレステロールが挙げられます。
高脂血症の原因の一つが悪玉コレステロールといわれるLDLコレステロールです。
コレステロールは肝臓で生成され、血液によって体内組織へ供給され胆汁酸の生成、細胞膜の形成や各種ホルモン、ビタミンの原料になる脂質ですが、余剰となったものは血液によって肝臓へ回収されます。
体内組織へ供給されるコレステロールはLDLタンパクと結合して血管内を循環するためLDLコレステロールと呼ばれ、体内組織から回収されるコレステロールはHDLタンパクとの結合によって肝臓へ運ばれるためにHDLタンパクと呼ばれています。
この供給と回収のバランスが加齢、体重の増加、飽和脂肪の多い食品の過剰摂取、運動不足などによって崩れると体内へ供給されるLDLコレステロールの量が増加し、血管内に蓄積されてしまうため、環状脈疾患を引き起こすとされています。
シムラップ20mgは肝細胞に作用し、ヒドロキシメチルタリルCoA(HMG-CoA)レダクターゼと言う酵素の構造を変換します。
この構造変換によってヒドロキシメチルタリルCoAからコレステロールの合成中間体であるメバロン酸へ還元が阻害され、結果としてコレステロールの合成が阻害されます。
また、ヒドロキシメチルタリルCoAレダクターゼを阻害すると細胞内コレステロールが減少し、小胞体からステロール調節要素結合蛋白を分離するプロテアーゼの活性を促します。
分離したステロール調節要素結合蛋白は細胞核レベルへ送られ、そこでLDL受容体への遺伝子発現が亢進させる作用を発揮します。
また肝細胞内コレステロールが減少することにより、肝臓内のLDL受容体が増します。
これにより血液中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が積極的に肝臓に取り込まれるようになり、また血中内の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を減少させる作用があります。