アルファモックス250mgは、ペニシリン系の代表的抗生物質で細菌が原因の色々な症状へ効果を発揮します。
感染症は、病原である微生物がヒトの体に侵入・増殖する事で不快な症状が現れる病気です。
ヒトが微生物に感染した際に感じる不快な症状は、「異物」を退けるための、体の防衛システムではありますが、感染した部位によって腫れや発赤・痛み・痒み・発熱などを起こします。
アルファモックス250mgの有効成分・アモキシシリンは、細菌とグラム陽性菌や一部のグラム陰性菌を死滅させ増殖を妨げる作用を持っているため、それらの病原微生物による様々な感染症治療へ効果を発揮します。
また、アルファモックス250mgは抜歯、歯周外科手術、歯石除去などの歯科処置などに伴う感染性心内膜炎(細菌性心内膜炎)の予防としても用いられる場合があります。
感染性心内膜炎(細菌性心内膜炎)とは血液に侵入した細菌によって引き起こされる心臓の内側の膜(心内膜)や弁膜が感染症で、心臓の弁や心筋などの心臓構造の破壊や菌の塊が血管に詰まることによる脳梗塞や腸管虚血といった重篤な合併症の原因となります。
その他、菌が血流に乗って他の臓器に移行することによって他の臓器における感染症を悪化させたり、脳動脈瘤といった動脈瘤など命に関わる疾患を合併することもあります。
感染性心内膜炎の発症率は年間100万人中に50-100人と決して多くはなく、は早期に発見され適切な治療を受けることができれば予後は良いとされています。
しかし診断がなかなか付かず発見が遅れ、弁の損傷などを始めとした重篤な合併症を起こしている場合は予後も悪く、最悪の場合は死に至ることもあります。
アルファモックス250mgは発症後の感染性心内膜炎にはさほど効果がないとされていますが、「歯科処置後に発症する感染性心内膜症の予防法」におけるアモキシシリン、ファロペネム、クラリスロマイシン、セフテラムピボキシル、アジスロマイシンの5種類の経口抗生物質の前投与の比較において最も良い結果が出ていることから、その予防効果が認められています。
さらに日本においては胃潰瘍などにおけるピロリ菌除菌にもその効用が承認されています。
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、ヒトなどの胃に生息するらせん型をした細菌です。
従来、胃の内部は胃液に含まれる塩酸により強酸性であるため、細菌が生息できない環境と考えられていましたが、ピロリ菌はウレアーゼと呼ばれる酵素を生産しこの酵素で胃粘液中の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解し生じたアンモニアで局所的に胃酸を中和し胃へ感染しています。
このピロリ菌による感染は各種胃炎や消化性潰瘍、胃癌やMALTリンパ腫などの発症につながる事が分かっている他、特発性血小板減少性紫斑病や小児鉄欠乏症性貧血、慢性蕁麻疹など、胃外性疾患の原因になることも分かっており、細菌の中でヒト悪性腫瘍の原因になり得る事があきらかになっている唯一の病原体です。
-適用菌種と適応症-
【適応菌種A】
ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、大腸菌、プロテウス・ミラビリス、インフルエンザ菌、梅毒トレポネーマ
【適応症A】
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創などの二次感染、びらん・腫瘍の二次感染、乳腺炎、骨髄炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、淋病感染症、梅毒、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎、涙嚢炎、麦粒腫、中耳炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎、猩紅熱
【適応菌種B】
ヘリコバクター・ピロリ
【適応症B】
胃潰瘍・十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ感染症