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2014-07-08

ソース(記事原文):皮膚科学タイムズ

アシクロビル錠の単回投与タイプは口唇ヘルペスに有効

皮膚科学タイムズ(2014年7月8日) ― 今年には販売が可能になる見込み

ルイーズ・ガニオン(Louise Gagnon)著

【ヒューストン】―口唇ヘルペスの治療目的で作られた昔からある薬で、その送達システムを新しくしたところ、再発が減り、発症期間が短くなり、発症の阻止率が高まった。

「研究の結果、30年ほど前からある薬(アシクロビル)は新しい経路でも極めて安全で有効なことが分かりました」と、スティーブン・タイリングM.D., Ph.D.(Stephen Tyring, M.D., Ph.D.)は話す。彼は『Sitavig(シタヴィグ)(アシクロビル50 mg、ビオアリヤンス・ファルマ社(BioAlliance Pharma))』の第III相二重盲検プラセボ比較試験の責任医師であり、Sitavigとは、単回低用量のアシクロビルを効果的に届ける特許技術を用いて口唇ヘルペスを治療する口腔粘膜貼付錠のことだ。「再発は減少したと考えられますが、それがウイルス量の減少によるものかは分かっていません」。

2013年には食品医薬品局(Food and Drug Administration)がSitavigを承認したため、今年には販売されて米国の患者は利用できるようになる予定である。

テキサス州ヒューストンのテキサス大学健康科学センター(University of Texas Health Science Center)で皮膚科学臨床教授を務めるタイリング博士によると、この薬は単純ヘルペスウイルス(HSV:ヘルペスウイルス科の最も一般的なウイルス)を攻撃することにより、前駆症状の間に使用すれば発症してもその期間が短くなるという主要評価項目を達成したという。

発症を減らす

この薬の効果が最適となるのは前駆症状の段階で使用した場合だが、前駆期の後に使用しても本格的発症の数は減少した、と博士は言う。

「発症を防ぐことはできなくても、発症の期間を短くすることはできます」。「次の発症までの期間が長くなり、発症してもそれほどひどくなりません。ただ、効果が最大となるのは前駆症状の間に使用したときでした」。

今回の第III相試験には再発性口唇ヘルペスの患者775人が参加し、9カ月にわたり追跡調査したところ、この薬の使用は再発経験リスクを22.7%低下させ、再発した患者においては次の発症を平均105日間遅らせたことが明らかになった。また、発症期間の中央値には統計的な有意差があり(p=0.003)、新規送達システムのアシクロビル錠の有益性が支持された。さらに、この貼付錠の使用により発症の阻止率が24.2%高まった。

この貼付錠はLauriad(ラウリアド)技術を使用しており、この技術を開発したビオアリヤンス・ファルマ社の戦略医療業務COO、ピエール・アタリM.D., M.Sc.(Pierre Attali, M.D., M.Sc.)によると、ヘルペスに感染している口唇側の切歯上方の歯肉に錠剤が接着することにより、口腔粘膜の局所にアシクロビルが持続放出されるという。

「カギはこの製剤に含まれる乳タンパク質濃縮物であり、そのおかげで歯肉に接着しやすくなっています」とアタリ博士。「アシクロビルをゆっくりと放出させるのも、この乳タンパク質濃縮物です」。

また博士は、乳タンパク質濃縮物は一般に食品添加物として使用されており、多くの乳製品で見られると話した。

送達方法

アタリ博士によれば、経口製剤としてのアシクロビルは体内での利用率がそれほどではなく、口唇ヘルペス部位に直接塗布する外用薬もそうだという。

「この錠剤からはアシクロビルが12~15時間かけて放出されるので、ウイルス複製が行われている期間をカバーできます」。「唾液や粘膜(のアシクロビル)を調べてみると、この期間中は非常に高濃度で存在しています。この送達システムを使用すれば、病気を食い止められるということです。1日か2日の間は症状がありますが、その後は病変が消失します」。

実際、アシクロビルはHSVのDNA複製を選択的に阻害するものの、全身投与では粘膜や皮膚の深層部における濃度が低く、送達も遅く、持続もしないため、粘膜に蓄積するHSV-1を十分に狙えない。

この製剤に含まれる乳タンパク質濃縮物はごく少量のため、乳糖不耐症の患者でも安全に使用できる。若年患者も使用が可能だという。

バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)という点でかなり有利であるほか、この製剤の使用は1回でよいので、アシクロビルの経口製剤や外用薬の使用時に見られる服薬遵守の課題がなくなる、と博士は話す。

「アシクロビルをきちんと使用して確実に治してもらうには、乗り越えなければならない障害がいくつかありました」とタイリング博士。「経口製剤を1日5回使用する場合、いつも問題になるのが服薬遵守でした。そこで1日3回の使用にして1回の用量を倍にするよう、患者さんたちに勧めるようになりました。外用薬の場合でも患者さんはしょっちゅう塗り直さなければいけません。この貼付タイプなら、患者さんが適切な場所に置くだけで錠剤がその場にとどまります」。

副作用に関しては貼付部位の刺激という事例がいくつかあったものの、1%未満とまれであった。頭痛の発生率についてもアシクロビルの全身投与では10%と報告されるが、この送達システムの場合ははるかに低い。

利益相反の開示:タイリング博士は、Sitavigのメーカーであるイノキュティス社(Innocutis)から一連の臨床試験の助成を受けたと報告している。アタリ博士はビオアリヤンス・ファルマ社の従業員である。


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