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2014-12-02
ソース(記事原文):エイズ・マップ
肝移植後のC型肝炎再発患者の大半がソホスブビル/レジパスビル配合剤とリバビリンの併用で治癒
エイズ・マップ(2014年12月2日) ― リズ・ハイリーマン(Liz Highleyman)著
リバビリン併用下で、12週又は24週間のソホスブビル/レジパスビル配合剤(Harvoni)を用いたインターフェロンフリー(インターフェロンを含まない)治療を行うと、C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1型の肝線維化患者あるいは初期の肝硬変患者のほぼ全員で、持続的ウイルス陰性化(ウイルス消失)を得られた。この結果は、米国ボストンで先月開催された米国肝疾患学会(AASLD)の肝臓総会で報告された。より重症の肝硬変や肝代償不全の徴候を呈する患者では陰性化率が低かったとはいえ、過半数が治癒した。
C型肝炎ウイルス(HCV)は移植後の新しい肝臓にほぼ必ずと言っていいほど再感染するもので、重症の肝線維化又は肝硬変、それに移植片機能損失を起こす可能性につながるような急速な疾患進行を招くことが多い。肝移植患者は、インターフェロンを含む治療を行っても効果がなく、インターフェロンの副作用や、免疫抑制剤との相互作用に耐えられないことが多いため、これまで治療は困難であった。しかし、ようやく高い治癒率と良好な忍容性をもたらすインターフェロンフリー治療と、新しい直接作用型抗ウイルス薬(DAAs)を併用することが可能となった。
ペンシルバニア大学(University of Pennsylvania)のラージェーンドラ・レディ(K Rajender Reddy)氏は、肝移植後のC型肝炎再発患者を対象に、ギリアド・サイエンシズ社(Gilead Sciences)製造の最近認可されたC型肝炎ウイルス(HCV)に対するヌクレオチドポリメラーゼ阻害薬ソホスブビル(Sovaldi)と、HCV NS5A(非構造蛋白5A)阻害薬レジパスビル(Ledipasvir)の配合剤について検討した多施設試験を実施し、その中間結果を報告した。
本試験は、肝移植患者223人を対象とし、大半は白人男性、年齢中央値は約60歳で、80%以上にC型肝炎の治療歴があった。約4分の3はHCV(C型肝炎ウイルス)サブタイプ1b型、4分の1はサブタイプ1a型で、3例に遺伝子型4型が認められた。
被験者を肝疾患の重症度別に分類した。
・ 111人は、進行した線維化(肝硬変)、もしくはそれよりも軽度の肝繊維化指標(METAVIR)F0(線維化なし)からF3(線維化高度)。
・ 51人は、肝硬変の重症度分類(Child-Pugh-Turcotte:CPT)にてグレードA(最低危険度)の肝硬変。
・ 52人はCPTグレードB(中間危険度)の肝硬変。
・ 9人は、1年生存確率が50%未満のCPTグレードC(最高危険度)の肝硬変。
移植後の治療期間中央値は、肝線維化患者で約3年であったが、肝硬変患者ではほぼ7年であった。肝線維化あるいはCPTグレードAの肝硬変を呈する患者では、肝代償不全の2つの徴候である腹水(腹水貯留)又は肝性脳症(脳機能障害)がごく少数でしか認められなかった一方で、CPTグレードBの患者では両徴候が過半数に認められ、CPTグレードCの患者では約90%に認められた。MELDスコア(スコアが高いほど、肝機能の悪化を示すバイオマーカー指標)は、CPTグレードAの患者の過半数で10未満であったのに対し、グレードB又はCの患者では10~15が多く、グレードCの患者の3分の1は16~20又は21~25であった。
リバビリン併用下でソホスブビル/レジパスビル合剤を12週間投与する群と24週間投与する群のいずれかに被験者を無作為に割り付けた。肝線維化又はCPTグレードAを呈する患者のリバビリン開始量は体重に応じた用量とし、より重度の肝硬変患者では600mg/日を開始量とし、忍容性が認められれば、標準用量まで増量した。
F0~F3の肝線維化患者におけるSVR12(治療終了後12週時の持続的ウイルス[HCV RNA]陰性化率)は12週間投与群で96%、24週間投与群で98%であった。CPTグレードAの肝硬変患者でも陰性化率は同様に高く、12週と24週の両投与群で96%であった。
一方、CPTグレードBの患者におけるSVR12は、12週群で85%、24週群で83%と若干低く、CPTグレードCの患者における治癒率は12週群でわずか60%、24週群で67%であった。
全体で、治療後の再発は6例あった。
被験者には、ウイルス陰性化だけでなく、肝機能の改善も認められた。アルブミン値が上昇する一方で、総ビリルビン値が低下することが認められ、両数値とも改善を示している。CPTグレードA患者の過半数とCPTグレードB患者の大半は、MELDスコアが低下(改善)した。
ソホスブビル/レジパスビル合剤とリバビリンの併用は、概ね安全で、忍容性も良好である。有害事象により治療を早期中止した患者は6人いた。重篤有害事象の発現率は、12週間の治療を受けた肝線維化患者で11%と最も低く、24週間の治療を受けたCPTグレードC患者で100%と最も高かった。ただし、大半の重篤有害事象と、7人の死亡例は、治療との因果関係はないと考えられた。最も頻繁に認められた治療関連の重篤有害事象は貧血で、6人に認められた。
「移植後のC型肝炎ウイルスの再発患者における12週又は24週の治療[ソホスブビル/レジパスビル+ リバビリン]は、重症度や治療期間に関係なく、治療後12週時の陰性化率(SVR12)を高めた」と本研究者らは結論付けている。
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