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2014-08-25

ソース(記事原文):炎症性腸疾患ニュース・トゥデイ

低用量ナルトレキソンがクローン病の症状を軽減する可能性

炎症性腸疾患ニュース・トゥデイ(2014年8月25日) ― モーリーン・ニューマン(Maureen Newman)著

クローン病などの難病患者にとって、この新しい治療法は、症状の寛解を維持する助けとなり、より快適な生活への希望につながる。今回、クローン病に提案されている開発中の治療法は、低用量ナルトレキソン(LDN)である。クローン病に対する本剤の使用については議論が続いているが、その理由として試験の実施件数が少ないこと、結論が得られていないことが挙げられる。

低用量ナルトレキソンという呼び方は4.5mgの投与量に由来しており、4.5mgはナルトレキソン(オピオイド 受容体拮抗薬)の適応外使用にあたる。クローン病フォーラム(Crohn’s Forum)によれば、オピオイドの連続投与は、正常な免疫応答を阻害し、炎症促進性サイトカインの産生を増強する。ナルトレキソンはオピオイド受容体を遮断することにより、これらの免疫抑制作用を改善させる。

クローン病は炎症性腸疾患の一種であることから、研究者らは患者の炎症を抑えるナルトレキソンを投与することに関心を抱いた。ペンシルベニア州立大学(Pennsylvania State University)のジル・スミス(Jill Smith)とイーアン・ザゴン(Ian Zagon)の両医学博士を中心とする研究グループが、活動性のクローン病患者におけるナルトレキソンの安全性及び有効性について初めて検討し、その前向き非盲検予備試験を「低用量ナルトレキソン治療が活動性のクローン病を改善」という表題で米国消化器病学会誌(American Journal of Gastroenterology)で発表した。

患者17人にナルトレキソン4.5 mgを1日1回投与し、12週間経過観察した。炎症性腸疾患質問票(IBDQ)、健康関連QOL尺度(SF-36)調査、クローン病の疾患活動性指数(CDAI)スコアを用いて、試験開始前、試験期間中4週間に1回、試験終了後4週時点でそれぞれ判定した。

ナルトレキソン治療の結果、CDAIスコアは、試験開始前よりも試験終了後4週時点で、有意に減少(改善)した。患者の大半(89%)で治療が奏効し、67%では寛解した。有害事象は認められず、最も頻繁に認められた副作用は睡眠障害であった。

本試験以外にも、ナルトレキソンのランダム化比較試験2件を査読した論文が「クローン病の寛解導入における低用量ナルトレキソン」という表題でコクランライブラリー(Cochrane Library)に掲載された。1件の試験は、成人患者34人を対象に(内訳は18人にナルトレキソン4.5 mg/日投与、16人にプラセボ投与)、12週間にわたりナルトレキソンの安全性及び有効性を確認したものであり、もう1件の試験は小児患者12人を8週間検討し、ナルトレキソンの安全性と忍容性を確認したものである。

両試験からは一定の結果が得られていない。一方、臨床的改善率において、プラセボ患者と比較して、成人患者では、ナルトレキソン投与患者において有意差が示されたものの、寛解において有意差は認められなかった(臨床上及び内視鏡下のいずれでも同様)。小児患者では、ナルトレキソン投与群の25%で臨床的寛解が得られたのに対し、プラセボ群で臨床的寛解を得られた患者は一人もいなかった。成人及び小児患者ともに重篤な有害事象は報告されなかった。

活動性のクローン病患者におけるナルトレキソンの有効性を確認するには情報不足であることが明らかである。両試験をGRADEシステムで評価したところ、データの量が少なく、化学的根拠は低いことが示唆された。

こうした欠点を埋めるため、サンタ・バーバラ・コテージ病院(Santa Barbara Cottage Hospital)が、臨床試験を登録しており、正式な表題を「症候性炎症性腸疾患における低用量ナルトレキソン」としている。ただし、被験者募集は行われていない。第4相試験の主たる目的は、炎症性腸疾患、クローン病、又は潰瘍性大腸炎の患者におけるナルトレキソンとプラセボを比較することにある。治療の有効性についてはIBDQ(炎症性腸疾患質問票)で判定する予定である。

こうしたナルトレキソンの適応外使用における安全性及び有効性を確立するためには、クローン病患者におけるナルトレキソンの研究を今後も継続することが極めて重要である。これまでの結果から、ナルトレキソンは有望とみられるが、さらなる検証が必要である。


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