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2014-11-27

ソース(記事原文):ヘラルド・レビュー

低用量ナルトレキソンが体へプラスの影響を及ぼす

ヘラルド・レビュー(2014年11月27日) ― 薬剤師スージー・コーエン(Suzy Cohen)著

低用量ナルトレキソンという処方薬は、医師なら誰しも名前は知っているが、まず処方することはない。

一般的にナルトレキソンは、ヘロイン常用者、アルコール中毒者、オピオイド断薬に用いられるものである。一方、低用量にすることで、自己免疫疾患や、慢性感染症、疼痛症候群に対しても有用となる。他の免疫治療薬(レミケード、イムラン、プレドニゾンなど)には重い副作用があり、高価格でもあることから、ナルトレキソンが手ごろな価格の補助薬と考えられている。

低用量ナルトレキソンは体内で2つの機能を果たす。
・ 自分の体を守る免疫システムをコントロール(免疫反応抑制)するのに役立つ。
・ 神経系の炎症を軽減する。

最初の機能から説明すると、私たちは自分の体を守る免疫システムをコントロールできる能力を備えていることが不可欠であり、それがないと、自分の免疫細胞が自分自身の体を攻撃してしまう。こうした状態に陥ることを自己免疫障害と呼び、自己免疫寛容(自分自身の細胞を攻撃しないようにする仕組み)の破綻を意味する。具体的には、関節リウマチ、橋本病、潰瘍性大腸炎、クローン病などの病気が挙げられる。低用量ナルトレキソンを服用すると、制御性T細胞が活性化され、免疫系の攻撃がストップする。

制御性T細胞は、炎症性化学物質が適切に分泌されていることを確認する働きがある。この物質は怪我をした時に治す手助けをしたり、損傷治癒後の炎症を止めたりするものである。もし炎症性化学物質(すなわちサイトカイン)の産生が止まったら、私たちの体は花粉、フケ、カビ、チリダニなど間近なもの全てを攻撃し始める。その後、自己免疫寛容が破綻し、今度は自分の甲状腺、関節、副腎、心臓、神経終末部髄鞘を攻撃する。低用量ナルトレキソンは、審判員のような役割を担い、こうした攻撃に反則の笛を吹く。

また、低用量ナルトレキソンは、神経系の炎症も軽減する。甲状腺疾患、抑うつ、線維筋痛症、慢性疲労、ライム病、又は神経因性疼痛の患者において、本剤は大きな利点をもたらす。このテーマに関する複数の論文で、低用量ナルトレキソンが中枢神経系のミクログリア(小膠細胞)を遮断することが明らかにされている。ミクログリアとは、脳内・脊髄内の免疫細胞のことであり、過度に活性化した状態になると、痛みの原因となる化学物質や、疲労感、不安定な気分、不眠、認知障害を招く。ミクログリアに対する低用量ナルトレキソンは、日焼けに対する冷湿布のような役目を果たす。

低用量ナルトレキソンは、細胞内の受容体を遮断する働きをし、天然エンドルフィンが細胞内に留まることを可能にする。エンドルフィンとは、心地良い時や、チョコを食べている時、走者が高揚感を経験する時、性交の時に生成される化合物のことである。エンドルフィンは疼痛閾値を高める(つまり、痛みを感じにくくさせる)。細胞内にエンドルフィンが留まることが望ましい。低用量ナルトレキソンが細胞を遮断することにより、エンドルフィン不足になり、脳に「エンドルフィンが無いので量産して欲しい!」という化学的シグナルが達される。体は欠乏を察知してエンドルフィンを産生する。投与量に関する複数の新たな研究により、1 mg~3 mgなどの低用量を就寝前に服用するのが望ましいことが示唆されている。副作用はごくわずかで、明晰夢又は睡眠障害などが起こることがあるが、投与量を減らしたり、日中の服用に変えたりすることで改善する。


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