ロビナックス500mgは、運動器疾患に伴う有痛性けい縮の症状緩和に使用される薬です。
運動器とは、骨、関節、筋肉、じん帯、神経など、体の動きをつかさどる組織や器官の総称です。それぞれに独自の作用や機能があり、これらが良好に働き、密接に連携することで体を正常に動かしていますが、さまざまな原因によりこのいずれかに問題が起こった状態が運動器疾患です。例えば
・外傷(骨折、脱臼、ねんざ、傷、やけどなど)
・関節の痛み・腫れ・変形
・肩こり、むちうち
・背中・腰の痛み、ぎっくり腰
・手足の痛み・しびれ、こわばり
・歩行障害、足のむくみ、こむらがえり
・神経痛、骨粗しょう症、痛風
・交通事故によるケガ、労働災害、スポーツ障害
などが含まれます。
けい縮は、筋肉が緊張しすぎることにより手足が動きにくくなったり、勝手に動いてしまう状態で、指が握ったままになり思うように開けなくなる、ひじが曲がる、足先が足裏の方の曲がってしまうなどの症状がみられる疾患です。
筋肉が運動する際は、脳からの指令が脊髄を通って脊髄にある運動神経に伝わり、運動神経が興奮して筋肉が動きます。またそれと同時に脳からは抑制性の命令も送られ、例えば腕を曲げるときは腕を延ばす筋肉に力を緩めるよう命令が届きます。
ところが脳や脊髄などが外傷を受けてその経路が損傷したり、血管からの出血による周囲組織の圧迫、血管の詰まりによる組織の壊死など、さまざまな原因により脳からの信号が正しく伝わらなくなると、筋肉が動かなくなりマヒした状態になります。さらに抑制性の信号が届かなくなることで反射を抑えていた信号がなくなり、脊髄の運動神経が勝手に興奮して筋肉が動くようになります。これがけい縮が起こる原因です。けい縮による姿勢異常が継続するとやがて筋肉が固まり、関節の運動が制限される拘縮(こうしゅく)に進展し、日常生活に支障をきたすこともあります。
このようにけい縮は筋肉の緊張により発生する疾患であるため、その治療はボツリヌス療法、神経ブロック療法、バクロフェン療法、外科的療法などで筋肉を弛緩させることを重点に行なわれます。
ロビナックス500mgは、筋肉を緊張させている神経を鎮める作用を持つ経口薬で、痛みを和らげ、さらに局所の循環障害を改善して運動機能の回復を促進する働きを持っています。
有効成分のメトカルバモールは骨格筋弛緩作用と弱い鎮静作用を持つ中枢神経抑制剤で、神経細胞同士の連絡をする神経である介在神経を選択的に遮断して神経興奮の伝達を抑制します。この働きにより異常に興奮・緊張している骨格筋のみを弛緩・鎮静するため、正常な筋肉の運動には影響を与えないという特長を持っています。
そのメカニズムはまだはっきりとは解明されていませんが、脊髄における多シナプス反射を抑制する作用と、骨骨格筋紡錘におけるα、β運動ニューロンの活動を抑制する作用により、メトカルバモールは筋肉の異常緊張を弛緩させると考えられています。