抗HIV薬 - このカテゴリーに関連するニュース・情報
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2012-07-16
ソース(記事原文):エイズメッズ
ツルバダとは?
エイズメッズ(2012年7月16日)― ・ツルバダは抗HIV薬です。さまざまな抗HIV薬の中でも、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NRTIs)と呼ばれる部類に入ります。この薬は、HIVが正常なCD4陽性細胞の遺伝物質を変化させるのを阻止します。これにより、感染細胞が新たなウイルスを産生するのを防いで、体内のウイルス量を減少させます。
・ツルバダはギリアド・ サイエンシズ社(Gilead Sciences)が販売しています。2004年8月に、この薬はHIV感染者に対する治療の一要素として米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration : FDA)に初めて承認されました。その後2012年7月には曝露前の予防薬(PrEP)として、つまり感染リスクが高い人のHIV感染を防ぐため、コンドーム等のより安全な性行為のための手段と併用する薬として承認されました。
・ツルバダは、ビリアード(Viread)(テノフォビルDF)300mgとエムトリバ(Emtriva)(FTC)200mgという2つの薬の合剤です。これら2つの薬の両方が必要な患者に対し、医療提供者はツルバダを処方します。それらの薬はいずれも、他の抗HIV薬と併用するため今まで通り個別に購入できます。
・治療薬としてのツルバダは、少なくとも1種のその他抗HIV薬、通常はプロテアーゼ阻害薬(PI)や非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)と併用しなければいけません。PrEPとしてのツルバダは、リスク低減のためのカウンセリング、一貫した正しいコンドームの使用、定期的なHIV検査、他の性感染症のスクリーニングおよび治療と併せて使用する必要があります。
・アトリプラ(Atripla)は、NNRTIであるサスティバ(Sustiva)(エファビレンツ)と、ツルバダの成分のテノフォビルおよびエムトリシタビンを含有する配合錠で、2006年7月に米国での使用が承認されました。ツルバダは、サスティバ以外の抗HIV薬と併用するために今まで通り購入できます。
・ツルバダに含まれているビリアードとエムトリバは、B型肝炎の原因ウイルスであるB型肝炎ウイルス(HBV)に対しても有効です。ビリアードもエムトリバもB型肝炎の治療に対するFDAの承認は得ていませんが、医師によってはB型肝炎とHIV感染症の両方を治療するためツルバダを処方することがあります。ビリアード、エムトリバ、そしてB型肝炎に関してもっと重要な情報を知るには、下記の「副作用は?」の項を参照してください。
・民間または公的医療保険に加入しておらず、ツルバダを購入できないHIV感染者のために、ギリアド社は患者支援プログラム(PAP)を設立しています。このツルバダに関するPAPについて詳細を知るには、ギリアド社(800-226-2056)までご連絡ください。民間の医療保険に加入している人の場合には、同社はツルバダにかかる毎月の自己負担金に対し最高200ドルまでをカバーするプログラムを設立しています。この自己負担金プログラムについても、詳細を知るには866-784-3431までご連絡ください。
ツルバダについて分かっていることは?
・ツルバダは1日1回服用する錠剤です。食べ物と一緒でも、そうでなくても服用できます。腎障害がある場合には、服用回数を減らす必要があるかもしれません。
・別々の錠剤としてのビリアードとエムトリバを一緒に服用する場合と比べると、ツルバダの効果はほぼ同じです。ただ、ツルバダはこれら2つの抗HIV薬のはるかに便利な服用方法であると考えられています。
・米国保健社会福祉省(United States Department of Health and Human Services)はその治療ガイドラインにおいて、抗HIV療法を始めて開始するHIV陽性成人の場合には、ツルバダに含まれている薬剤を「望ましい」NRTI選択肢として列挙しています。こうした推奨事項および選択肢について詳細を知るには、ここをクリックしてください。
・薬剤耐性の可能性に関する情報については、ビリアードとエムトリバそれぞれのページの「分かっていることは?」の項を参照してください。
薬物相互作用は?
・アトリプラ、エムトリバ、ビリアード、ヘプセラ(Hepsera)、エピビル(Epivir)、またはエピビル含有のその他配合錠(エプジコム(Epzicom)、コンビビル(Combivir)、トリジビル(Trizivir)等)と、ツルバダを一緒に服用してはいけません。理由は、これらの薬にはツルバダと同じか、または類似の成分が入っているからです。
・ツルバダに含まれているビリアードは、血中のヴァイデックスEC(Videx EC)(ジダノシン)の量を増やす可能性があります。ツルバダとヴァイデックスECを併用している場合は、より慎重に服用指示に従う必要があるかもしれません。また、ヴァイデックスECの用量を減らす必要があるかもしれません。
・プロテアーゼ阻害薬であるレイアタッツ(Reyataz)(アタザナビル)、プリジスタ(Prezista)(ダルナビル)、カレトラ(Kaletra)(ロピナビル・リトナビル)は、ツルバダに含まれるビリアードの血中での量を増やして、より多くの副作用をもたらす恐れがあります。ツルバダと、レイアタッツ、プリジスタ、カレトラのいずれかを併用している場合は、より慎重に服用指示に従う必要があるかもしれません。ツルバダは、血中でのレイアタッツの量を減らす可能性があります。ツルバダとレイアタッツを併用している場合には、ノービア(Norvir)も服用すべきです。
副作用は?
・NRTIsを服用している人々において、致死的となりうる乳酸アシドーシス、および重度の肝障害が報告されています。悪心、嘔吐、異常なまたは予期せぬ胃部不快感、脱力感および疲労感、息切れ、手足の脱力感、皮膚や眼が黄色くなる、あるいは胃の上部の痛みがみられる場合は、速やかに担当医に連絡してください。
・ツルバダに含まれているビリアードは、骨障害を引き起こす可能性があります。抗HIV療法を初めて受けるHIV陽性患者を対象に製薬会社が実施した1件の臨床試験において、ビリアード[サスティバとエピビルを併用]は、臀部および脊椎の骨密度低下(骨減少症)を生じさせました。現在、研究者らがこの副作用の重症度を調べているところです。骨折歴がある、または骨減少症のリスクがある人の場合には、ツルバダを服用している間、担当医が骨スキャンのオーダーを定期的に検討したいと考えるかもしれません。カルシウムとビタミンDの補充がこの副作用対策に役立つかどうか明らかではありませんが、ビリアードを服用しているのであれば、有益となる可能性があります。
・ビリアードによる治療を受けた患者の一部で、腎障害が認められています。腎障害(腎機能障害)の既往のあるHIV陽性患者にとって、ツルバダに含まれているビリアードは問題となる可能性があります。肝炎の治療薬ヘプセラ(Hepsera)(アデフォビル)使用後の腎障害を含めて、腎障害の既往がある場合、担当医は簡単な臨床検査をオーダーして、腎機能の指標である「クレアチニンクリアランス」を算出する必要があるでしょう。この検査結果によっては、ツルバダを服用できないかもしれません。腎障害を引き起こす薬、または腎臓によって体内から排泄される他の薬とツルバダを併用する場合は、常に慎重になることが重要です。
・ツルバダなどのNRTIsが含まれる抗HIV療法によって、血中の脂質(コレステロールおよびトリグリセリド)量の増加、体型の異常な変化(リポジストロフィー;腹部、乳房、首の後ろの周囲の脂肪が増えるとともに、顔、腕、脚の脂肪が減少する)が生じる可能性があります。抗HIV療法におけるこれらの副作用については、「リポジストロフィー」、「顔のリポアトロフィー」、「心臓へのリスク(高脂血症)」のページに概説しています。
・B型肝炎とHIV感染症に罹患していてツルバダの服用を止めるつもりであれば、綿密な経過観察が必要となり、また投与終了から数カ月の間、担当医は頻繁に肝酵素値を検査したいと考えるかもしれません。これは、ツルバダに含まれているビリアードとエムトリバがHBVに対しても有効なためです。ツルバダの服用を急に中止すると、肝臓病が「再発」して肝臓に障害を与える恐れがあります。
・ツルバダの副作用として最もよくみられるのは、下痢、悪心、疲労感、頭痛、めまい、抑うつ、不眠、異常な夢、発疹です。
・上記の他に起こり得る副作用については、ビリアードとエムトリバそれぞれのページの「副作用は?」の項を参照してください。
妊婦はツルバダを服用できますか?
・FDAは、ツルバダを胎児危険度分類Bとしています。胎児危険度分類Bとは、動物試験では胎児への危険性は証明されなかったが、妊婦においては、適切な対照を置き、よく管理された臨床試験がないということです。HIV陽性であり、妊娠した女性は、赤ちゃんをHIVから守るために抗HIV療法の利益と起こり得る副作用について話し合うべきです(「家族計画、妊娠、HIV」のページの説明を参照してください。)。
・ツルバダに含まれている2つの薬剤は母乳に移行するのかどうか、またそれらが授乳期の赤ちゃんにどのような影響を及ぼすのかについては分かっていません。感染していない赤ちゃんのHIV感染を防ぐために、HIV陽性の母親は母乳を与えないことが推奨されています。
ツルバダの服用前にどんなことを担当医に話すべきですか?
・腎臓病、肝臓病(B型肝炎を含む)、または骨障害を有する場合には、ツルバダの服用前にそのことを担当医に話してください。
・服用しているすべての薬について、担当医と薬剤師に話してください。これには処方薬、市販薬、薬草・自然療法が含まれます。
ツルバダを使用する臨床試験についてどこで知ることができますか?
・ツルバダを使用する臨床試験に自分は適格かどうか知りたければ、米国国立衛生研究所(US National Institutes of Health)が運営するサイト「エイズインフォ(AIDSinfo.nih.gov)」を検索してみてください。エイズインフォには「健康情報の専門家」がいて、フリーダイヤルの1-800-HIV-0440(1-800-448-0440)に電話をすれば彼らと話すことができます。