コラーゴル30mgは脳機能を高める働きを持つ薬で、主に脳梗塞後遺症に伴う慢性脳循環障害による意欲低下を改善する目的で使用されるほか、老年性認知症や血管異常が原因で起こる障害の治療に使用される脳循環代謝改善薬です。
脳梗塞は、何らかの原因で血管に血の塊である血栓ができ、それが脳動脈の血液の流れを止めてしまうため、そこから先の細胞に栄養や酸素を届けることができなくなることで脳がダメージを受ける疾患です。血の流れが止まり、充分な血液が脳に届かなくなるとやがて脳細胞が壊死し、多くの場合は体の半分・片側だけに運動まひ、感覚障害が現われるほか、言語障害、意識障害、視覚障害などの症状が現われます。
その症状のひとつが慢性脳循環障害です。脳内の血液循環が悪くなって大脳機能が低下してしまう疾病で、慢性的に脳の酸素が不足した状態になるため意欲が低下するだけでなく、さらに進行すると脳血管性認知症を誘発することもあります。
ところが慢性脳循環障害の場合、循環状態に不良が生じても、一刻を争う脳梗塞とは異なりある程度の治療期間が残されていることから、生活習慣の改善、原因となる血栓の治療、血管の拡張などの治療をほどこすことで、症状の進行をかなり遅らせることが可能です。
コラーゴル30mgは、脳血管を選択的に拡張して脳血流を増加させ、これらの症状を改善する働きを持つ薬です。有効成分のニセルゴリンは、α1受容体遮断作用や血管平滑筋の弛緩作用による脳循環改善作用、脳虚血時のグルコース、ATP、ピルビン酸などの脳内エネルギー関連物質の代謝改善作用を示します。
人間の内臓や血管などの機能は、交感神経系と副交感神経系の作用によって支配されており、そのうち交感神経は神経の末端からアドレナリン、ノルアドレナリンという物質を目的の臓器に放出し、受容体と呼ばれる物質と結合することでその刺激を伝達しています。
このアドレナリン受容体のひとつであるα1受容体は、血管の平滑筋に多く存在しており、血管を収縮させる働きを持っています。ニセルゴリンにはこのα1受容体の働きを遮断する作用があるため、血管平滑筋を弛緩させ、結果的に脳血流量を増加させます。
そのほかにもニセルゴリンには脳酸素・グルコース代謝を改善し、細胞内のガソリンのような役割をする物質であるATPの生成を増加させることによりエネルギー代謝を高めるほか、 赤血球変形能改善作用、抗血小板作用などにより、血液流動性をよくする働きを持つことから、脳により多くの血を送り込み、症状の改善が大きく期待できます。
なお日本においては、現時点における医療上の有用性を確認することができないことから、ニセルゴリンを有効成分とした一部の薬は、効能の変更や、製造・販売を中止しています。