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2011-09-02
ソース(記事原文):キャンサー・リサーチUK
ウイルスの発見が小児の脳腫瘍治療を助ける可能性
キャンサー・リサーチUK (2011年9月26日)
髄芽腫は小児に最もよくみられる悪性脳腫瘍である。ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション(Journal of Clinical Investigation)に掲載された研究によれば、その大部分はあるウイルスに感染しているようだ。
今回の研究は、そのウイルスに髄芽腫を引き起こす特別な役割があるかどうかについては解明していない。しかし、スウェーデンのカロリンスカ研究所(Sweden's Karolinska Instituet)の研究者らは、髄芽腫の小児のためにこの研究が新たな治療法の開発につながることを期待している。
多くの腫瘍サンプルと研究所で培養した髄芽腫細胞には、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)として知られるウイルスが存在することを研究チームは明らかにした。
HCMVの存在が証明されたのは、このウイルスによって作られることが分かっている数種のタンパク質を腫瘍細胞内で発見したためである。
セシリア・セーデルベリ・ナウクラー教授(Professor Cecilia Soderberg-Naucler)とジョン・インゲ・ジョンセン教授(Professor John Inge Johnsen)率いる研究者らは、培養した腫瘍細胞とマウス体内に移植した腫瘍細胞で試験を実施して、抗ウイルス薬はその増殖に何らかの影響を与えるかどうかについても検討した。
抗ウイルス薬バルガンシクロビルは、培養したものとマウス体内のいずれにおいても腫瘍細胞の増殖を抑えたことを彼らは明らかにした。
同様の効果はセレコキシブと呼ばれる薬の使用でもみられた。COX-2と呼ばれるタンパク質はHCMVによって増えることが分かっており、セレコキシブはこのCOX-2を阻害する。
HCMVに感染していない培養腫瘍細胞やマウス体内の腫瘍細胞の場合、これらの薬はその増殖に影響を与えなかった。
HCMVを標的とすることは、髄芽腫だけでなく神経膠腫や脈絡叢乳頭腫など他の脳腫瘍に対しても治療法開発の可能性を提供するかもしれないと、関連コメントの中でシンシア・ホーキンス博士(Dr Cynthia Hawkins)とシドニー・クロウル博士(Dr Sidney Croul)は述べている。
ただし、脳腫瘍患者に対するHCMV標的治療の真のメリットを十分に理解するには、その前にこの治療法が人に与える影響についてさらに研究を行う必要がある。
英国がん研究所(Cancer Research UK)のオリバー・チャイルズ(Oliver Childs)上級科学情報官(senior science information officer)は次のように話した。「ウイルスが特定の脳腫瘍の発症に直接寄与するか否かというのは、何十年もの間盛んに議論されてきたテーマでした。今回の研究は、確かにHCMVが髄芽腫の原因かどうかについて明らかにしていません。」
「しかし、大部分の髄芽腫にはこのウイルスが存在することを示しています。つまり、これら予備的な結果も示すように、HCMVの活性を妨げる薬は髄芽腫治療のさらなる研究において興味深い手段となる可能性があります。」
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