アタカンデ(カンデサルタンシレキセチル)16mgは、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬と呼ばれる降圧剤で、主に高血圧症・腎実質性高血圧症・慢性心不全の治療薬として用いられています。
高血圧症は、正常血圧範囲『収縮期血圧130mmHg未満・拡張期血圧85mmHg未満』を超えて高く維持されている状態を指します。
しかし高血圧自体の自覚症状は何もない事が多いため、知らず知らずのうちに虚血性心疾患・脳卒中・腎不全などの合併症を併発するおそれがあります。
高血圧症の分類は、本態性高血圧(原発性高血圧)と二次性高血圧の2種類があり、二次性高血圧の場合は明らかな原因疾患から生じる高血圧で、しばしば手術などで完治する確率が高いとされています。
一方、高血圧患者の90%以上を占めるとされる本態性高血圧(原発性高血圧)の場合は、遺伝素因に加え生後の成長過程~加齢プロセスにおける食事、肥満、過度のストレスや過労などのさまざまな生活習慣が絡み合って生じる病態と考えられています。
高血圧症と肥満・高脂血症・糖尿病との合併症は「メタボリックシンドローム」と呼ばれ「死の四重奏」と称される程の恐ろしい病気です。
腎実質性高血圧症は、二次高血圧症に属し最も頻度の高い腎性高血圧で、腎実質の疾患により腎臓からのナトリウム排泄障害などのメカニズムにより起こりますが、慢性腎炎や糖尿病による腎障害などの疾患によって、腎臓での体液バランス調整がうまくできなくなる事から高血圧症状を起こします。
そのため、腎障害が高血圧によりさらに悪化し、腎障害を形成して最終的には慢性腎不全へと進行する可能性が高く、早期治療を行なうべき病気と考えられています。
慢性心不全は、心臓のポンプ機能が低下するために全身へ充分な酸素が送れず、全身の血流が滞ることで起きる症状で、さまざまな原因で発症しますが、加齢に伴って増える生活習慣病と考えられています。
また、急性心不全に移行する事を繰り返し、徐々に進行していく場合もあります。症状は、全身にうっ血を起こす右心不全と肺にうっ血を起こし全身へ送られる血液量が減る左心不全に分けられます。
通常は両方が同時に起こって両心心不全となりますが、しばしば心房細動や心室性期外収縮などの不整脈を合併します。
アタカンデ16mgの有効成分であるカンデサルタンシレキセチル(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬/AⅡ受容体)は、強い血圧上昇因子で、動脈の平滑筋にあるアジオテンシンⅡの特異的結合作用部位であるアンジオテンシンⅡ受容体(AT1タイプ)に働きかけ、血圧上昇や副腎皮質からのアルドステロンの分泌を刺激します。
アンジオテンシンⅡ受容体には、AT1タイプとAT2タイプがありますが、カンデサルタンシレキセチルは、特にAT1タイプに強い親和性を持って結合するため、アジオテンシンⅡの作用がこの部位でブロックされて血圧が降下するのが特長です。