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2015-03-01
ソース(記事原文):デジタル・ジャーナル
のどの痛みの治療に抗HIV薬を
デジタル・ジャーナル(2015年3月1日) ― ティム・サンドル(Tim Sandle)著
一般に、のどの痛みというのはやっかいなものです。その原因菌の間では抗生物質への耐性が増していることから、微生物学者たちは病原菌に対抗できる代わりの治療法を探しています。
のどの病気の引き金となり、世界的にも毎年、死因の1つとなっているのが化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)です。この菌は特に、ストレプトリジンS(streptolysin S)という毒素を産生することから伝染性の病原菌とされています。毎年、世界各地で感染は7億件に上るとの推計があり、およそ65万件は死に至るのが典型です。
治療はペニシリンが第一選択となり、最低でも10日間投与します。でも、ペニシリン治療が必ず効くとは限りません。化膿レンサ球菌は抗生物質への耐性が増しているということで、現在検討されているのが、抗HIV薬としてすでに販売されている薬です。この薬は菌が有害な毒素を作る仕組みの邪魔をして、その産生を停止させると考えられます。
その抗HIV薬とはネルフィナビルのことです。この薬はもともと、HIVの外膜蛋白を狙うように開発されました。化膿レンサ球菌には毒を産生できる仕組みがあって、その仕組みの一部として菌内に存在する酵素にもネルフィナビルは作用します。
これをさらに調べようと、微生物学者らがネルフィナビルに似た化合物をいくつか開発しました。そしてその化合物を使った実験で、菌の毒素産生を停止させることに成功したのです。そのような化学物質を使用することにより、毒素産生を阻止する薬の製造が期待されます。
この研究報告は、ジャーナル『ACSケミカルバイオロジー(ACS Chemical Biology)』にあります。論文のタイトルは「HIVプロテアーゼ阻害薬によるストレプトリジンS産生の阻止(HIV Protease Inhibitors Block Streptolysin S Production)」です。