ニューラクティル2.5mgは、フェノチアジン系の定型抗精神病薬で、成人における統合失調症などの精神病の治療や再発の予防のほか、不安、精神運動性激越、暴力的なまたは危険な衝動的行為などに対する短期治療の補助薬として使用されます。
統合失調症は、脳が情報や刺激に対して過敏になりすぎるために、考えや気持ちをうまくまとめることができなくなる状態で、妄想や幻覚などを伴う多様な症状を呈する症候群です。かつては精神分裂症と呼ばれていました。
思春期から青年期に発症が見られることが多く、その確率は100-120人中1人と、決してまれな病気ではありません。さらに女性においては、40-45歳に2度目のピークが訪れるとされ、その時期の発病は男性の2倍との結果が出ています。
その症状は大きく陽性と陰性に分けることができ、陽性の場合では被害妄想や強迫観念といった思考内容の障害や、幻聴、幻覚、さらに他人の質問に対して的外れな応答をしたり、自分の思考に他人が割り込むことで話ができない状況に陥ったりします。
一方、陰性の症状においては、感情が外部に現われない、他人と意志の疎通ができない、といった感情の障害から、意欲がなくなる意志・欲望に関する障害、思考障害などの症状が現われます。これらの症状以外にも集中力、記憶力、生理能力などに問題が生じる認知機能障害も統合失調症の症状のひとつです。
統合失調症の根本的原因は解明されていませんが、症状の発現が脳の神経伝達物質の機能異常にあることが明らかであるため、その治療は抗精神病薬を使用した薬物療養が中心に行なわれます。
抗精神病薬には定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬があり、現在の主流は非定型抗精神薬です。非定型抗精神薬は1990年代に登場し、世界市場におけるシェアが90%以上とも言われおり、陽性および陰性の両方に対して効果を発揮するだけでなく、従来の抗精神病薬で見られた錐体外路症状、高プロラクチン血症、遅発性ジスキネジアなどの副作用が出にくいという特長があります。しかし感情障害に対しては鎮静作用が不確実で、体重増加や糖尿病のリスクの高さが問題とされています。
一方、ニューラクティル2.5mgの有効成分であるペリシアジンは、従来型の定型抗精神病薬に含まれます。ジストニア、遅発性ジスキネジア、パーキンソン症候群など、体の一部が勝手に動くまたは動かしづらくなるなどの運動機能障害や、プロラクチンホルモンが過剰に分泌されることで視床下部、下垂体、甲状腺機能などに障害が生じるプロラクチン血症などが起こるという副作用の問題がありますが、過剰になり過ぎた神経伝達物質のドパミンの働きを抑え、特に幻覚、妄想などの陽性症状の強い急性期や再燃を頻回に繰り返す症例に対しては、強力かつ持続的に遮断する作用を持っています。