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2011-11-16

ソース(記事原文):スキン&アレルギー・ニュース

遺伝性皮膚症に対する「天才的」といえる局所外用療法

スキン&アレルギー・ニュース(2011年11月16日)― ブルース・ジャンシン(BRUCE JANCIN)著

リスボン発 ― 稀な脂質代謝の遺伝性疾患により生じる皮膚異常を治療する新たな局所的アプローチが、遺伝性皮膚症の専門家らによって絶賛されている。

欧州皮膚科学・性病学会議(EADV: European Academy of Dermatology and Venereology)の年次総会でトマス・シュワルツ(Thomas Schwarz)博士は「シンプルな着想だが、天才的なアプローチだと思う」と語った。

同氏によれば、エイミー・パラー(Amy S.Paller)博士らが最近の論文の中で、末梢コレステロール代謝のX連鎖優性疾患を有する患者2名において、魚鱗癬様紅皮症および四肢欠損を伴う先天性片側性形成不全(CHILD)症候群の皮膚症状を成功裏に回復させたことを明らかにしている。

シカゴのノースウェスタン大学(Northwestern University)皮膚科学分野の学部長で教授のパラー博士率いる研究グループがこうした治療成功を成し遂げられたのは、CHILD症候群患者における乾燥した魚鱗癬様の皮膚症状が出現した原因を特定できたからであり、具体的には皮膚のコレステロールが欠乏し、毒性代謝物の蓄積につながったことで出現したとされる。

同研究グループは、遺伝子治療を用いずに、ロバスタチンおよびコレステロールを用いた局所療法で対処することを選択した。局所用ロバスタチンを使用して異常なメバロン酸の経路を遮断することによって有害な代謝中間体の産生を抑制するとともに、局所用コレステロールを用いて皮膚に欠如した脂質を補った。

その結果、3ヵ月以内に皮膚病変は消失した。皮膚病変における表皮構造・脂質分泌の正常化を示唆する超微細構造的な所見も伴っていた(参考文献:J. Invest. Dermatol. 2011;131:2242-8)。

シュワルツ氏によれば、このアプローチの才気はパラー氏らが遺伝子治療を回避した点にあるという。遺伝性皮膚症に対する新規治療の開発を目指した研究活動の大半は、遺伝子治療に焦点を当てたものとなっているが、技術的に手ごわく、費用も高いほか、進捗状況も遅いことが分かっている。

ドイツのキールにある大学病院(University Hospital)皮膚科・アレルギー科・性病科の責任者シュワルツ氏は、「同氏らは遺伝子欠損を改善させる必要のないことを明らかにしている。つまり、遺伝子ができないことは補うことが可能となる。これは大変興味深いと思う。末梢のコレステロール代謝異常を伴う遺伝性皮膚症は他にもたくさんあることから、重大な影響を及ぼすことになる」と述べている。

類似した治療方法について検討するに値する遺伝性皮膚症には、X連鎖劣性遺伝魚鱗癬、シェーグレン・ラルソン症候群、コンラーディ・ヒューネルマン症候群、レフサム病、ドーフマン-チャナリン症候群がある、と同氏は補足した。

シュワルツ氏は本研究に関連する開示すべき資金源はないとしている。


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