脂質吸収阻害タイプ
脂質吸収を阻害するダイエット薬
「ゼニカル」とそのジェネリックの「ビーファット」の有効成分オーリスタットは脂肪を分解する酵素を阻害することによって食事によって摂取された脂質が体内へ吸収されることを妨げる肥満治療薬です。
食事によって吸収された脂質の分子はそのままでは大きすぎて血中に吸収されないため、胃リパーゼやステアプシン(膵リパーゼ)といった消化液中の酵素によって分解される必要があります。
オーリスタットはこれらの酵素の活性部位と結合することによってこれらの酵素を不活性化させ、脂質(トリグリセリド)を遊離脂肪酸とモノグリセリドに分解することを不可能にします。
この作用によって、脂肪が体内に吸収されずに排泄されることになります。
オーリスタットは脂肪の吸収こそ妨げますが、その他のデンプンやタンパク質の吸収を妨げる作用はありません。
そのため、オーリスタットを使用しているからといって過食を続けていてはその効果は期待できず、また既に蓄積されている体脂肪を減らす作用もないため、適切な食事制限と運動療法との組み合わせることによって初めてその効果が表れるとされています。
1998年にヨーロッパで実施されたオーリスタットと偽薬を用いた臨床試験(Randomised placebo-controlled trial of orlistat for weight loss and prevention of weight regain in obese patients)において1日600Kcalの食事制限と共にゼニカル1年間を使用したグループでは平均10.8%(10.3Kg)の体重減少がみられたのに対して、食事制限と共に偽薬を1年間使用したグループの平均体重減少率は6.1%(6.1Kg)であったという結果がみられています。
また、このゼニカルを使用していたグループを二つに分け、食事制限を緩和し、一方にはゼニカルを継続して服用、もう一方は偽薬に切り替えたところ、ゼニカルを継続して使用しているグループのほうは偽薬を使用していたグループと比較し、年間のリバウンドが2.4Kg少なくて済んだという結果がでています。