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2013-04-10
ソース(記事原文):メディカル・エキスプレス
放射線障害後の幹細胞再生を上皮成長因子が助ける
メディカル・エキスプレス(2013年2月3日)― デューク大学(Duke Medicine)の研究者らによれば、上皮成長因子は、放射線曝露後の造血幹細胞の回復を速めることが判明した。この所見はがん患者だけでなく、いわゆる核爆弾や原子力災害の被害者にとっても、新しい治療の選択肢を広げる可能性がある。
2013年2月3日発行のネイチャー・メディシン誌(Nature Medicine)の報告によると、この研究者らが特定の遺伝子改変を行ったマウスに最初にどんな異常が現れるかを探ったところ、骨髄中の上皮成長因子(EGF)が豊富であった。これらマウスは放射線障害から守られたため、研究者らはどのようにしてこの現象が起きたのか疑問に感じた。
「造血とは造血幹細胞から血液成分が派生して形成されることですが、この造血を上皮成長因子が刺激することは知られていませんでした」デューク大学の内科学教授であり、薬理・腫瘍生物学教授でもあるジョン・チュートM.D.(John Chute, M.D.)上席著者はそう話した。「しかし、我々のこれまでの研究は、損傷後の造血幹細胞の増殖および再生を、EGFが促進することを実証しています。」
造血幹細胞は新しい血液細胞と免疫細胞を絶えず大量に作り出しているが、放射線障害に非常に敏感である。造血幹細胞を保護したり、損傷後の再生を改善したりすることは、骨髄移植を受けている患者だけでなく、2011年に日本で起きた原子力災害のように偶発的な環境曝露による放射線障害に苦しむ人たちにとっても有益となりうる。
デューク大学の研究者らは、特別に交配して2種の遺伝子を欠失させたマウスを使うところから研究を始めた。それら遺伝子は、血管の内側表面を覆っている内皮細胞の死を調節したり、造血幹細胞の運命を制御すると考えられたりしているものである。これらマウスの血管および造血系は高線量の放射線に曝露してもあまり損傷を受けず、生存が改善した。
放射線から守られたマウス群の骨髄を採取し、内皮細胞の分泌物を分析したところ、対照マウス群の血清中と比べて上皮成長因子(EGF)が最高18倍と有意に増加していたことを結果は示した。次に研究者らは、骨髄中の幹細胞を研究室で培養し、放射線を照射した後、その増殖にEGFが直接拍車をかけるかどうか調べた。結果は予想通りで、細胞を移植されたマウスには再増殖がみられ、幹細胞は有意に回復することができた。
次にデューク氏のチームは、3種の異なる細胞溶液を用意して、各マウス群に骨髄移植を行うという方法を試みた。第1群には通常の骨髄細胞を移植し、第2群には放射線照射とEGF投与を行ったドナーからの骨髄細胞を移植し、第3群には放射線照射と生理食塩水投与を行ったドナーからの骨髄細胞を移植した。
通常の骨髄細胞はよく増殖し、レシピエントマウスにおける生着率が最も高かった。一方、放射線照射・EGF投与ドナーからの細胞を移植されたマウス群は、第3群と比べて生着率が20倍高かった。
さらに複数の研究を実施したところ、致死的な放射線曝露後の生存をEGFが改善することが示された。それら研究では、放射線照射を受けたマウスのうち、続いてEGF投与を受けたマウス群では93%が生存したのに対し、生理食塩水投与のマウス群では生存は53%であった。
チュート氏によると、PUMAと呼ばれ、通常は放射線曝露後の幹細胞死の引き金となるタンパク質を抑制することによってEGFが作用するようである。
「私たちは、放射線障害後の幹細胞再生をEGFが促進する機構を理解し始めたばかりです」と同氏は言った。「今回の研究は、化学療法や放射線療法を受けた患者の血液系の回復を、EGFが加速させる可能性があることを示唆しています。」
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