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2014-01-31
ソース（記事原文）：ニュース・メディカル
手術前のクロニジン投与が小児の術後の痛みと不安を軽減する可能性
ニュース・メディカル（2014年1月31日） ― 小児において手術後の痛みや心理的ストレスを管理することは、手術の回復過程に不可欠な要素であるが、手術後に強力な鎮痛剤を使用すると、副作用やその他の合併症リスクを招くことになる。
コクランライブラリー(Cochrane Library)に新たに掲載された知見の再評価で、クロニジンという薬剤の術前投与が、手術後の痛みを抑える解決策として優れており、小児の術後不安を軽減するのにも役立つ可能性のあることが明らかにされた。
この研究の主著者で、アデレイド大学(オーストラリア)婦人科・小児科病院の上級麻酔専門医であるアラン・チャイナ(Allan Cyna)博士は、今回の再評価は我々が観察してきた事実を裏付けるものであるとしている。「臨床診療における症例報告的な経験で観察してきたことが研究に着手した理由の1つである」と同氏は述べている。
今回の再評価で、クロニジン4μgs/kg投与は、その他の鎮痛剤と比較して、副作用の発現数が少ないことが示された。潜在的副作用は2つみられ、顕著な徐脈(心拍数低下)と低血圧(血圧の低下)であった。
本研究者らは、クロニジンが手術後の痛みの緩和に有効かどうかを見極める目的で実施されたスウェーデン、中国、米国、ギリシャ、カナダ、トルコ、日本、ヨルダン、ブラジルにおける11件の試験結果を比較した。これらの試験の対象者は18歳未満の小児742人であった。うち4件の試験はクロニジンをプラセボまたは無治療と比較しており、6件の試験ではミダゾラムと比較し、1件はフェンタニルとの比較であった。
チャイナ氏は「我々の再評価は、術後痛を抑えるための術前投与薬としてクロニジンを考慮する医師や医療専門家または投与患者などに希望を与えるものと考えられる」としている。ただし、「我々の研究結果が希望を与えるものであったとしても、これまでの試験は小規模であるうえに、方法論に大きなばらつきがあるため、決定的なものではない。これらの結果を裏付けるには、厳密な研究が必要とされる」と同氏は注意を促した。
UCLA(カリフォルニア大学ロサンジェルス校)マテル小児病院(Mattel Children's Hospital)の小児疼痛・緩和ケアプログラム責任者ロニー・ゼルツァー(Lonnie Zeltzer)博士は、複数の理由(術後痛が将来の手術に及ぼす影響など)から術後痛の緩和が極めて重要であるとの見解に同意している。
「これまでの経験や神経生物学に基づくと、術後痛の治療が難しかったり、小児疼痛専門医による特殊な専門知識が必要であったりすると思われる小児もいる。クロニジンなどの事前投与により、術後の疼痛管理をサポートする必要性が減り、術後疼痛問題の出現確率も低下する。本剤の事前投与は、術後疼痛問題の出現を待ち構えるよりも望ましい」
ゼルツァー氏はクロニジンがどの程度広く使用されているのかは分からないとする一方で、UCLAとスタンフォード大学の小児麻酔科責任者はクロニジンを術前薬として使用しておらず、小児外科手術にクロニジンを術前薬として使用している医療センターの存在も知らないとしている。
ゼルツァー氏は「コクランの再評価は術前の鎮静(不安)および術後痛のためにクロニジンを用いる可能性と有益性を明らかにしたと思うが、クロニジンを第一選択の術前薬として推奨するのは、今後十分に吟味して計画された対照試験を行った後になる」と述べている。
出典: アデレイド大学(University of Adelaide)
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