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2012-10-24

ソース(記事原文):英国がん研究所

成人の脳腫瘍で最もよく見られるタイプの治療に抗酒薬が役立つ可能性

英国がん研究所(2012年10月24日)― ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー(British Journal of Cancer)、プレス・リリース

ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・キャンサーに今日(水曜)掲載された研究によると、60年以上の間アルコール依存症患者の治療に使用されている薬が、神経膠芽腫の治療に役立つかもしれない。神経膠芽腫は、成人の脳腫瘍としては最も多く、致死的である。

神経膠芽腫は、最も悪性度が高いとされる脳腫瘍の1つで、治療は極めて難しい。1年以上生存できる患者は、英国でもわずか27%程度である。

血液脳関門は、脳と、体内を循環する血液の間の分子交換をコントロールしているが、この血液脳関門を通過できるのは従来の薬の中でもほんの一握りであるというのが、問題の1つとなっている。そのため、神経膠芽腫の患者が既存の治療に耐性を示すようになると、その代替として医師が試みることのできる治療法はほとんどない。

だが、この度、ウォルバーハンプトン大学(University of Wolverhampton)の研究者らは、脳腫瘍チャリティー(The Brain Tumour Charity)(以前のサマンサ・ディクソン脳腫瘍トラスト(Samantha Dickson Brain Tumour Trust))から資金援助を受けた基礎研究で、次のことを明らかにした。それは、ジスルフィラムと呼ばれ、血液脳関門を通過すると考えられる抗酒薬が、既存の化学療法に対する癌細胞の感受性を高める仕組みである。

彼らは、特に化学療法剤ゲムシタビンと併用した場合のジスルフィラムが、研究室で培養されている神経膠芽腫細胞を殺すのに有効なことを発見した。ゲムシタビンは、血液脳関門を通過できる数少ない化学療法剤の1つである。腫瘍がゲムシタビンに耐性を示すようになるという問題のため、これまでは、この種の癌の治療でゲムシタビンの使用は限られていた。

ジスルフィラムはすでにアルコール依存症患者への使用が認められていることから、今回の研究は、癌患者を対象とした第II相臨床試験をできる限り速やかに開始するための道を開いている。

研究のリーダーであるウォルバーハンプトン大学のウェイガン・ワン博士(Dr Weiguang Wang)は、こう話した。「私たちは、10年以上にわたりジスルフィラムの抗がん特性を研究してきました。そのため、臨床試験が可能な段階にまできたことにとても興奮しています。これら最新の結果は、この薬が癌細胞内に銅を運び、有害なフリーラジカルを発生させて作用することを示唆しています。フリーラジカルは細胞に蓄積して、大きなダメージを与えます。神経膠芽腫細胞のほうが正常組織よりも銅濃度がはるかに高くなる傾向にあり、これはつまり、過剰な銅によってそれら癌細胞は追い詰められるが、正常組織は害を受けないということになります。」

「銅を使って癌に立ち向かうという考えは、1920年代に英国の科学者らが提案したのが最初でした。しかし、科学者が癌細胞内に過剰な銅を上手く運ぶ方法を見つけ、神経膠芽腫細胞を殺すにはこれをどのように従来の化学療法と組み合わせればいいかを示したのは、今回が初めてです。現在、私たちはジスルフィラムのベストな送達方法について研究を行っており、資金を確保できたらすぐに癌患者で臨床試験を開始したいと思っています。」

脳腫瘍チャリティーのCEO、サラ・リンドセル(Sarah Lindsell)は次のように話した。「脳腫瘍チャリティーは、この研究に資金援助したことを誇りに思うとともに、臨床試験へとつながる可能性のあるポジティブな成果が得られたことを喜んでいます。私たちは、神経膠芽腫が患者とその家族に与える多大な影響をじかに目にしており、この研究は治療を改善して生存期間を延長させるための基礎になると思われます。私たちは必要性の高い研究に資金援助をすることによって、将来、神経膠芽腫と診断される人たちに現実的な希望を与えることができます。」

英国がん研究所(Cancer Research UK)の上級科学情報マネジャー、ジュリー・シャープ博士(Dr Julie Sharp)はこう話した。「がん治療における大きな課題の1つは、いかに周辺組織に害を与えないようにしながら腫瘍細胞をうまく殺すことができるか、ということです。ジスルフィラムのように、血液脳関門を通過し、なおかつ癌細胞の化学療法への感受性を高めることができる薬剤は、耐性という問題を克服して脳腫瘍患者の予後を改善するうえで重要な役割を果たすでしょう。」


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