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2014-11-26
ソース(記事原文):メディカル・エキスプレス
ごく一般的な制酸薬が安価な抗癌剤となり得る仕組み
メディカル・エキスプレス(2014年11月26日) ― 欧州の医学誌eキャンサー・メディカル・サイエンス(e-cancermedicalscience)に掲載された研究によれば、一般的な消化剤で大腸癌の生存期間が延長するという。これについて長年研究が重ねられてきているものの、この研究がなぜ広く浸透しないのか、癌支援団体グループは関心を持っている。
本論文の主著者で、ReDO(癌目的以外の既存薬に抗癌作用を見出し抗癌剤として適用拡大する)プロジェクトの一員であるパン・パントジアルカ(Pan Pantziarka)氏は「シメチジンは、極めて安全で、広く知れており、複数の試験で臨床結果も確認されていることから、興味深い薬剤である」としている。
シメチジンは腸内でヒスタミン受容体を遮断し、胃酸の産生量を減少さることにより、消化障害を治療する薬剤である。また、癌細胞中のヒスタミン受容体も遮断するほか、癌に対する免疫系の防御能を後押しするとみられる。
シメチジンは、大腸癌及び胃癌、メラノーマ、腎細胞癌において、プラス効果を持つことが示されている。
パントジアルカ氏は「既存薬を腫瘍に適用拡大した薬剤のうち、シメチジンは特に興味深い一例である。本剤は長年にわたり様々な癌における有効性が前臨床及び臨床で証明されているほか、薬剤作用時に複数の作用機序を伴うことが分かっている」と述べている。
未開発の薬剤への意識向上
ReDOプロジェクトは、抗癌研究に携わる世界中の研究者らの国際的な協調の下に、一般的な既存薬が癌の新薬になり得るという理念を推進することに尽力している。
eキャンサー・メディカル・サイエンス誌に掲載された過去の論文によると、ReDO研究者らは線虫に対して現在使用されている一般用医薬品メベンダゾールにおける抗癌特性を検討していた。
現在、ReDOプロジェクトはeキャンサーと共同で、臨床試験に持ち込める十分な証拠を示した薬剤について一連の論文を発表している。今後の論文では、次の薬剤の抗癌作用の可能性について取り組む予定である:ニトログリセリン(狭心症治療薬)、イトラコナゾール (一般的な抗真菌薬)、ジクロフェナク(一般用医薬品として市販されている鎮痛剤)、クラリスロマイシン(抗生物質)。
がん対策基金(Anticancer Fund)で医長を務めるゴーチエ・ブーシュ(Gauthier Bouche)氏は「こうした有望な治療薬を、適切な臨床試験を実施して開発するとなると、製薬会社にとって採算が合わないため、開発されないことが多い」と述べている。「こうしたチャンスを見つけ出し、実証するためにReDOプロジェクトが設立された」
癌の危機的状況への安価な解決策
ReDOプロジェクトリーダーによれば、アスピリンや制酸薬のように、既存薬を抗癌剤として適用拡大することが、今後の抗癌剤研究の対象となる可能性がある。
安価で入手しやすく、副作用が少ないため、低・中間所得層の国における医療専門家にとって非常に魅力的な解決策である。また、既存薬の適用拡大は、先進国における癌の金銭的負担を軽減することにもなる。
パントジアルカ氏は「シメチジンは患者のニーズを満たいている薬剤である。使用しない理由はないのではないか?」と語った。