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2012-09-11

ソース(記事原文):メディカル・エキスプレス

トラネキサム酸がより広く用いられることで出血性外傷患者をさらに何百人か救える可能性

メディカル・エキスプレス(2012年9月11日)― 心臓病ニュース

血液凝固促進薬トラネキサム酸は、様々な外傷性出血患者に対し安全に投与できるもので、最も重篤な症例への投与に限定されるべきではないことが、イギリス医師会雑誌(BMJ:British Medical Journal)本日号に掲載された研究で示された。

先行研究においてトラネキサム酸は血栓の有害事象(血管内の血栓形成)リスクを上昇させることなく、あらゆる原因による死亡を有意に減少させることが既に明らかとなっている。このため、世界中でトラネキサム酸が外傷の治療計画に組み込まれているものの、最も重度の症例に焦点を当てている傾向がみられる。

そこで、生命を脅かす外傷性出血患者を特定する予測モデルを開発するため、ロンドン大学衛生学熱帯医学大学院(London School of Hygiene & Tropical Medicine)の研究者らは、大規模な無作為化対照試験のデータを利用した。その後、同モデルを用いてベースライン(治療開始前)の死亡リスクに応じて治療効果が異なるのかどうかを確かめた。全患者は外傷後3時間以内に治療された。

その結果、全リスクグループにおいてトラネキサム酸投与患者の出血による死亡はより少ないことが分かった。全ての血栓事象においてトラネキサム酸投与患者は1.5%(6684人中98人)死亡したのに対し、トラネキサム酸を投与されなかった患者では2.1%(6589人中140人) が死亡した。

トラネキサム酸投与患者では、不要な凝固リスク、特に心臓発作リスクに有意な減少がみられた。また、不要な凝固リスクの減少は、ベースラインリスクに応じて異なることはないと思われた。高リスク患者よりも低・中間リスクの外傷患者の方がはるかに多いので、トラネキサム酸の使用を高リスク患者に限定することは、同剤を使用する利益のほとんどを受け損なっているということになる。

トラネキサム酸は様々な出血性外傷患者に対し安全に投与できるものであり、その用途を最も重篤な出血患者に限定すべきではない、と同著者らは結論づけている。著者らは救命目的のメッセージが医師に間違いなく届くように、負傷者の筋書きを作って重要事項を示すような短編漫画を準備している。救急医は長い研究論文よりも短編漫画を好むのではないかと考えたからである。

参考医学雑誌: イギリス医師会雑誌(British Medical Journal:BMJ)


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