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2012-10-10
ソース(記事原文):骨髄腫ビーコン
サリドマイドがくすぶり型骨髄腫患者の疾患進行を遅らせる可能性
骨髄腫ビーコン(2012年10月10日)― シュルティ・クリシュナ(Sruti Krishna)著
最近完了した第III相試験の結果から、サリドマイドがくすぶり型骨髄腫患者の疾患進行を遅らせることが示唆されている。
具体的に言うと、その試験でゾメタ(Zometa)と併用してサリドマイドを服用した患者らは、ゾメタの投与を受けただけの患者らと比べて、疾患が進行に至るまでの期間が著しく長かった。
また、サリドマイドとゾメタの併用投与群では患者の3分の1以上が腫瘍奏効を示したのに対し、ゾメタの単独投与群でそのような奏効を示した患者はいなかった。
ただしサリドマイド・ゾメタ併用群のほうが、サリドマイド(サロミド(Thalomid))治療を受けている患者でよく見られる副作用の末梢神経障害(疼痛、ピリピリ感、または四肢の感覚消失)を経験する患者が多かった。
これらの結果に基づき、研究者らは、くすぶり型骨髄腫患者に対しサリドマイドと同じ薬剤クラスのレブラミド(Revlimid)(レナリドミド)が優れた治療選択肢となりうると結論付けている。その理由は、一般にレブラミドの使用に伴い末梢神経障害は起こらないためである。彼らの指摘によれば、この試験はレブラミドが利用可能となる前に計画されたものであった。
非活動性骨髄腫または無症候性骨髄腫とも呼ばれるくすぶり型の多発性骨髄腫は、骨髄腫の初期の段階であり、この段階ではまだ、血中カルシウム濃度の上昇、貧血、骨疾患、腎障害といった一般的な骨髄腫関連症状を患者は示さない。
一般に、血中のモノクローナル蛋白(M蛋白)が30 g/L以上、または骨髄中の形質細胞が10%以上であれば、これを基にくすぶり型骨髄腫と診断される。
くすぶり型骨髄腫に対する現在の標準的ケアは「経過観察」であり、患者を定期的に観察して、症候性骨髄腫に進行したら治療を開始する。このアプローチは、この段階で治療しても全生存期間には影響を与えず、むしろ患者はより長期にわたって化学療法を受けることで副作用も長期に経験するという以前のエビデンスに基づいている。
一方、比較的古い化学療法剤よりも忍容性が良好とされるサリドマイド、ベルケイド(Velcade)(ボルテゾミブ)、レブラミドなど新規薬剤の開発に伴い、最近の複数の研究で、治療によってくすぶり型骨髄腫が症候性骨髄腫に進行するのを遅らせることができるかどうか検討が行われている。
例えば最近のある研究から、レブラミドとデキサメタゾン(デカドロン(Decadron))の併用は、進行リスクの高いくすぶり型骨髄腫患者の疾患進行を遅らせる可能性のあることが明らかにされた(関連のビーコンニュース(Beacon news)を参照)。
ゾメタ(ゾレドロン酸)は、ビスホスホネートと呼ばれる薬剤クラスに属し、破骨細胞の活性を阻止することで骨量減少を抑え、骨折を減らす。複数の先行研究により、ゾメタは多発性骨髄腫患者の無増悪生存率および全生存率を上げると示唆されている(関連のビーコンニュースを参照)。
今回の第III相試験では、メイヨー・クリニック(Mayo Clinic)の研究者らが、くすぶり型骨髄腫患者の疾患進行に対するゾメタとサリドマイド併用の効果をゾメタ単独の場合と比較した。
試験は2003年から2011年にかけて行われ、新たにくすぶり型骨髄腫と診断された患者68例(年齢の中央値は63歳)を対象とした。患者らに骨病変はなく、検査で形質細胞の急速な増殖は見られなかった。
くすぶり型骨髄腫から活動性骨髄腫への進行リスクが高いこととしばしば関連する因子として、血清または尿中のM蛋白濃度が高い、また骨髄中の形質細胞の割合が高いという2つがあり、患者の約3分の2がこの2つを持っていた。
残りの患者の大半は、この危険因子2つのうち少なくとも1つを持っていた。
患者全員が毎月ゾメタ4 mgの静脈内投与を受け、そのうちの51%はサリドマイド200 mgも毎日服用した。
試験が開始された後で、ゾメタの投与は、1年目は3カ月ごとに4 mg、その後は1年に1回4mgに減らされた。これは、ビスホスホネート治療により、顎骨への血液供給が失われることで顎骨が劣化する顎骨壊死が起こる場合のあることが、他の研究で明らかにされたためである(関連のビーコンニュースを参照)。
追跡期間の中央値は、5.9年であった。
結果から、サリドマイド・ゾメタ併用群では患者の37%が腫瘍奏効を示したのに対し、ゾメタ単独群でそのような患者はいなかったことが明らかにされた。奏効期間中央値は3.3年であった。
さらに、サリドマイド・ゾメタ併用群では患者の86%が1年間の治療後も無増悪のままであったのに対し、ゾメタ単独群では55%であった。
無増悪生存期間の中央値は、ゾメタ単独群(1.2年)よりサリドマイド・ゾメタ併用群(2.4年)のほうが有意に長かった。ただし全生存期間については、両群間に統計的な差はなかった。
研究者らは、典型的な骨髄腫関連症状(貧血、腎障害、骨障害、または血中カルシウム濃度の上昇)の発現に基づき、疾患進行までの期間も算出した。サリドマイド・ゾメタ併用群では進行までの期間の中央値が4.3年であったのに対し、ゾメタ単独群では3.3年であった。ただし、この差は統計的に有意とはみなされなかった。
サリドマイド・ゾメタ併用群では患者の80%が軽度から中等度の神経障害を発現したのに対し、ゾメタ単独群では18%であった。ただし、より重篤な副作用の頻度については、両群間で有意差はなかった。
詳しくは、ルーケミア(Leukemia)誌に掲載の研究(アブストラクト)を参照していただきたい。