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2011-09-27
ソース(記事原文):ザ・ネーション紙
ケトプロフェン ― 安全で有効な薬
ザ・ネーション紙(2011年9月27日)― ザカ・ウル・レフマン(Zaka-ur-rehman)氏、Mアシュラフ博士(Dr M Ashraf)共著
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、関節炎、変形性関節症、強直性脊椎炎、急性筋骨格障害などの疾患における軽度から中等度の痛みの治療用として、人および動物によく用いられている。2006年にパキスタンでは、人気が高く一般的に使用されていたNSAIDのジクロフェナクナトリウムが動物への使用を禁止された。これは、この薬による南アジアのハゲワシ類への毒性が報告されたためである。
動物診療におけるジクロフェナクの使用が禁止された後、より安全で新しいNSAIDsの検討が行われた。ラホール(Lahore)の獣医動物科学大学(University of Veterinary and Animal sciences : UVAS)薬理・毒性学科(department of pharmacology and toxicology)において、我々は今回の研究業務を開始した。目的は、安全で有効な別のNSAIDを見つけることであった。このため、さまざまなNSAIDsの毒性学的スクリーニングと有効性に関する試験を実施した。これら試験の結果から、ケトプロフェンが安全で有効なNSAIDであると考えられた。
ケトプロフェン(KTP)は強力な新規NSAIDであり、パキスタンをはじめとする70カ国以上で人および動物への使用が認められている。動物診療でのジクロフェナクナトリウム使用が禁止された後、ケトプロフェンは人気の解熱鎮痛抗炎症薬となった。この薬は治療指数が大きく、安全域がより広く、毒性の可能性が比較的低い。またアスピリン、フェニルブタゾン、フルニキシンメグルミンよりも有害事象発現率が低い。人における好ましい薬物動態プロファイルによって、ケトプロフェンは動物への使用に適切で有効なNSAIDとなった。
薬の有効性および毒性は、吸収・分布・代謝・排泄(ADME)という生物学的過程によって決まる。薬物動態学は、このADMEを扱う学問である。薬の適切な用量および合理的使用について推奨を行うには、薬物動態パラメータが極めて有用である。個人間、民族間、動物種間で薬物療法に対する臨床反応にばらつきが見られるのは、ADMEに影響する遺伝的特徴および環境因子が原因である。いくつか報告されている研究によって、ケトプロフェンに対する臨床反応には動物種間でばらつきが見られることが明らかにされている。
家畜動物、とりわけパキスタン現地の水牛、ヤギ、馬、犬におけるケトプロフェンの薬物動態プロファイルについては未だ研究が行われていない。2009年11月にはラホールのUVAS薬理・毒性学科において、大学管轄機関の承認を正式に受けた研究プロジェクトが開始された。プロジェクトの主な目的は、シンプルで特異的かつ正確な高速液体クロマトグラフィー(High Performance Liquid Chromatography : HPLC)法を開発し、標準化し、妥当性を確認することであった。このHPLCは、血漿中ケトプロフェン濃度の定量化のほか、家畜動物、とりわけ現地状況下の水牛、ヤギ、馬、犬におけるケトプロフェンの薬物動態パラメータの特性評価を行うためのものである。そのほかアモキシシリン三水和物とケトプロフェンを水牛に併用投与した場合、ケトプロフェンの薬物動態パラメータに対するアモキシシリン三水和物の相互作用効果についても評価を行う。
研究は3つの相によって完了した。第I相において、血漿中のケトプロフェン定量のためのシンプルで特異的かつ正確なHPLC分析法を開発・標準化して、その妥当性を確認した。続いて第II相と第III相では、このHPLCを用いて対象動物の血漿中ケトプロフェンを測定した。水牛、ヤギ、馬、犬におけるケトプロフェンの薬物動態パラメータの特性評価については、第II相で行った。アモキシシリン三水和物とケトプロフェンを水牛に併用投与した場合の、ケトプロフェンの薬物動態パラメータに対するアモキシシリン三水和物の相互作用効果については第III相で評価した。
第II相では、水牛、ヤギ、馬、犬の各動物種において臨床的に健康な成体8例を用意し、タグを付け、試験環境に慣れさせた。飼料と水から成る食餌を標準要件のとおりに与えた。研究プロジェクトの期間を通じて、資格のある獣医師が試験動物の健康状態を監視した。各動物にケトプロフェン3mg/kg体重を頸静脈から単回W投与した。0.08時間から始まり最長96時間まで、さまざまな時間間隔で投薬前後に血液サンプル(3~5mL)をバキュテナーに採取した。
血漿を分離して、すでに開発・標準化し妥当性を確認済みのHPLC法により分析した。血漿中のケトプロフェン濃度を測定した。
第III相では、先に第II相で用いた臨床的に健康な成体水牛8例を採用した。14日間の休薬期間をこれら水牛に与えた。休薬期間終了後、水牛にアモキシシリン三水和物を15mg/kg体重で頸筋に11M投与し、10分後、ケトプロフェン3mg/kg体重をW投与した。0.08時間から始まり最長96時間まで、さまざまな時間間隔で投薬前後に血液サンプル(3~5mL)をバキュテナーに採取した。血漿を分離して、すでに開発・標準化し妥当性を確認済みのHPLC法により分析した。血漿中のケトプロフェン濃度を測定した。コンピュータベースの薬物動態ソフトウェアAPOバージョン3.02を用いて、薬物動態パラメータを算出した。統計解析については、コンピュータソフトウェアSPSS.13を用いて行った。比較は対応のないt検定により行った。
今回の研究結果から、水牛、ヤギ、馬、犬におけるケトプロフェンの薬物動態挙動には個体および動物種のばらつきが存在すると考えられた。ケトプロフェンの薬物動態パラメータに対するアモキシシリン三水和物の有意な相互作用効果は認められなかった。ある種におけるケトプロフェンの薬物動態データを、別の種に外挿することはできない。炎症に関連する臨床状態の水牛および犬においては3mg/kg体重のJ/V投与を推奨し、24時間後に再投与できる。馬およびヤギにおいては3mg/kg体重のJ/V投与を推奨し、12時間後に再投与できる。ケトプロフェンの用量は異種動物で同じであるものの、異なる動物に対し異なる投与計画が必要である。
鎮痛抗炎症薬としての効果を得るには、対象動物におけるケトプロフェンの最低有効血漿中濃度を評価する臨床試験の実施が必要であると示唆される。通常、ケトプロフェンはさまざまな感染症に対する抗菌薬の補助薬および支持薬として併用投与されることから、他の抗菌薬とケトプロフェンの相互作用効果を検討する必要がある。パキスタン政府は製薬会社に対し、最終製品の添付文書およびラベルには一般化された投与計画を記載するのではなく、動物種別の投与計画を記載するよう指示しなければならない。