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2011-04-21

くすり屋さんオリジナル記事

にきびに悩んでいます

まず、にきび(医学的には「尋常性ざ瘡」)のできる仕組みをおさらいしましょう。

皮膚の表面には脂腺という小さな穴が無数に存在し、皮脂という油分とともに、身体から出る不要な成分を排出しています。

皮脂の産生が過剰になり、脂腺の開口部が塞がって中に皮脂や老廃物が溜った状態が、それぞれ白にきび、黒にきびです。

性ホルモンは皮脂の産生に影響を与えますから、思春期や、女性では生理の前ににきびができやすくなります。

顔は体の中でも特に脂腺が多く約20万個あると言われています。そのため顔にはにきびができやすいのです。

 

どんな人の脂腺にも、にきび菌(正式には「アクネ桿菌」)という細菌が住んでいます。

普段は特別な問題を起こしませんが、皮脂の出口が詰まると増殖を開始します。

それは、にきび菌が「嫌気性菌」という、酸素の少ない、閉鎖的な環境を好む菌だからです。

こうなると脂腺内部で炎症が起き、いわゆる赤にきびになります。

不衛生にしていると二次感染といって、さらに他の細菌も増殖して化膿し、治ってもにきび跡が残るような、重度のにきびになります。

 

同じように気を付けていても、にきびになりやすい人と、そうでない人がいます。

にきびが発生する過程は解明されていますが、なぜ個人差があるのかはわかりません。

統計によるとアメリカ人は重度のにきびになる人の割合が高く、これに関しては脂肪と炭水化物を多く摂る、アメリカ型の食生活に問題があると推測されています。

これには科学的な裏付けもあります。余分な炭水化物は体内で中性脂肪という脂肪の一種に変換されるからです。

体内の脂肪の量が増えれば皮脂となって大量に分泌され、脂腺が詰まりやすくなるわけです。

コーヒーやチョコレートはにきびを悪化させると聞いたことはありませんか。

実際は、クリームをよほどたくさん入れたり、食べる量が多かったりしなければ心配ありません。

むしろ、即席麺やスナック菓子に要注意です。アルコールも広い意味で炭水化物の仲間です。

そして食事ではありませんが、厚化粧は人工的に脂腺を塞いでしまいますので避けてください。

 

もう1つ、皮脂の産生に関係するのが皮膚の潤いです。

肌が乾燥すると、皮膚を守るために皮脂が産生されることがわかっています。

にきびが気になる方は洗顔したら化粧水やローションで水分を補ってください。

軽いにきびは生理現象ともいえる状態ですから、食べ物に気を遣い、充分に洗顔をすれば治まるのが普通です。

悪化させないコツは二次感染を起こさせないことです。

人間の手指や髪には思っている以上に細菌が付いていますから、できるだけ顔に触れないようにしましょう。

それでも感染してしまったら抗菌薬を使うと効果的です。

ダラシン」にはクリンダマイシンという、これまでの抗菌薬とは違う仕組みで作用する抗菌成分が入っていて、現時点ではにきびに一番よく効く抗菌薬と言ってよいでしょう。

ただしダラシンを塗りさえすれば治るということではありません。

抗菌薬だけに頼って生活面の注意をおろそかにしていては、なかなか治りません。

漫然と薬を使い続けると、耐性菌といって、ダラシンでは死なない菌の繁殖を招き、せっかくの薬が効果を失うことになります。

使用上の注意を必ず守り、洗顔が基本中の基本であることを忘れないで下さい。

 

 

参考文献

日本皮膚科学会ホームページ


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