フラボスパス200mgは、慢性ぼうこう炎、慢性前立腺炎、神経性頻尿に伴う頻尿、残尿感の治療薬です。
尿は腎臓でつくられ、ぼうこうで蓄えられますが、一定量に達すると膀胱壁が刺激され、末梢神経から脊髄排尿中枢を通じて大脳の中枢神経に伝われることで尿意を感じます。1日の尿量は約1.5-2リットル、また1回の排尿量は約250-300ミリリットルと言われ、日本人では約150ミリリットル溜まると軽い尿意を、約250ミリリットルで強い尿意を感じるのが一般的なようです。
正常な排尿回数は、昼間で3-5時間に1回、夜間で0-1回程度とされており、この回数をはるかに上回る場合は頻尿と考えられます。また排尿後直後であるにも関わらず、尿が出切っていないような感じを残尿感と言い、頻尿、残尿感ともにさまざまな病気が原因となって起こることがあります。
その原因のひとつが慢性ぼうこう炎です。細菌がぼうこう内に侵入して繁殖し、ぼうこう粘膜が炎症を起こした状態がぼうこう炎ですが、慢性ぼうこう炎ではこの状態が繰り返し発生します。女性は尿道が短いうえに外陰部は膣からの分泌物などで常に湿っており、また肛門とも接していることから、男性よりも女性に多い病気です。通常は、細菌に対する防御機能があるために炎症を起こすことはほとんどありませんが、疲労、ストレス、風邪などで抵抗力が低下したり、また尿道やぼうこうに存在する細菌を洗い流す役割も持つ尿の排出を我慢することでも起こると言われています。ぼうこう炎の主な症状は、頻尿、排尿痛、残尿感などです。
一方、慢性前立腺炎は男性特有の病気で、前立腺の炎症が慢性的に続く状態です。大腸菌や腸球菌が原因で起こる細菌性と、性行為などによる感染症が原因の非細菌性があり、発症率としては非細菌性前立腺炎のほうが多いと言われています。排尿痛、頻尿、残尿感のほか、睾丸の疼痛、下腹部、尿道、ペニスの痛みや不快感、性欲減退が起こることもあります。
神経性頻尿は病気ではありませんが、心理的要因やストレスが原因で起こり、頻尿の原因としてはぼうこう炎に次いで多いとされています。過度の緊張により尿意をもよおすのはごく普通の現象ですが、神経性頻尿では、例えば電車や学校などでトイレを我慢した経験がきっかけとなって尿意に対するトラウマが生じ、尿意を気にすると余計に尿意を感じるという悪循環に陥ります。しかし夜間や何かに集中している場合は尿意をもよおさず、当然のことながら発熱や排尿痛など尿意以外の症状は現われません。
これらの症状に伴う頻尿、残尿感の治療に有効な薬がフラボスパス200mgです。有効成分の塩酸フラボキサートは、ぼうこうが尿でいっぱいなった際に筋の律動収縮を抑制すると共に、ぼうこうを支配する神経が興奮してぼうこうが収縮するのを抑えます。しかし平滑筋に対してはその緊張性を保ち、排尿力を低下させないため、正常な排尿力を保持することができます。
一般に、神経伝達物質であるアセチルコリンの働きを抑えることでぼうこうの平滑筋を緩め、ぼうこうの畜尿を高める抗コリン薬が治療に使用されることが多いようですが、口の渇き、便秘、物がぼやけるなどの副作用や、前立腺肥大症のある人では残尿感が感じやすくなるなどの問題があります。
ところがフラボスパス200mgは、抗コリン薬とは異なる作用機序を持つためほとんど抗コリン作用が発現せず、また抗コリン薬と比較して効果は若干弱いものの、充分な治療効果が認められていることから、副作用が少ない安全性の高い薬として頻尿、残尿感の治療に使用されています。