安眠茶(安睡茶)は、心労などの不安を取り除き、不眠、手や喉の熱感が原因で寝付けない状態を解消し、睡眠へと導くための漢方茶です。
不眠症は睡眠障害のひとつで、例えば、夜寝付けない、夜中に目が覚める、朝早く眼が覚めるなどの睡眠トラブルが原因となり、昼間の日常生活に支障をきたす状態です。原因や症状によっていくつかの種類に分類され、例えば原因から分類した不眠症の場合では、眠るための環境や身体の準備が関連した「生理学的不眠」、心理的ストレスや不安などが原因の「心理学的不眠」、嗜好頻や薬に由来する「薬理学的不眠」、病気に関連した「身体的疾患に伴う不眠」、そして精神疾患によって生じる「精神疾病に伴う不眠」に分けられます。また症状で分ける場合には、床についてもなかなか眠れない「入眠障害」、夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」、朝早く目が覚め、そのあと眠れなくなる「早朝覚醒」、ぐっすりと眠った感じがしない「熟眠障害」の4つがあります。
これらの原因によって充分な睡眠が得られなくなると、身体にはさまざまな弊害が生じてきます。まず睡眠が不足することで脳や身体の機能が回復せず、集中力や記憶力、判断力などの低下を招くほか、不安やイライラなどの精神不安定、体の免疫機構・防御機構が弱まることによる発病、症状悪化や、ホルモン分泌のバランスが悪くなることから血糖値や血圧の上昇をはじめ、太りやすくなるなどの症状があらわれることもあります。
不眠症の治療には、心理的なストレスや不眠を助長する生活習慣の改善、原因となる病気の治療、睡眠に対する正しい知識をつける睡眠衛生指導、強い光を浴びることで体内時計のリズムを修正する高照度光療法のほか、薬物療法などがありますが、さまざまな生薬からつくられた安眠茶もまた、快適な睡眠に導くのに有用な選択肢のひとつです。
安眠茶は漢方の力でそのバランスを整えることで、不眠を解消するお茶です。東洋医学では、体内におけるエネルギーである「気」と、身体をめぐり、栄養と老廃物を運ぶ「血」、そして体液や分泌液である「水」がバランスを取りあって生命の活動が成り立っていると考えられています。ところが、何らかの原因でこのバランスがくずれると、さまざまな症状が身体にあらわれるようになります。そこで「気」の流れが滞って眠れない場合は気の流れをスムーズにする処方を、イライラして眠れない人には気分を落ち着かせる処方をというように、不眠が生じている背景を考慮します。
例えば、材料のひとつである小麦(ショウバク)は、イネ科コムギの種子を乾燥したものです。漢方的には鎮静、安眠、安神、清虚熱、止汗、止渇の効能があり、ヒステリーやパニック症状、糖尿病、下痢などにも用いられます。そのほか、体を温め、緊張を緩和させる作用を持つ大棗(タイソウ)や熟棗仁(ジュクソウニン)、心臓の血の虚が関連している可能性のある不眠症に有効な丹参(タンジン)、さらに汗止め効果のある炙甘草(シャカンゾウ)や糯稲根(ジュトウコン)を配合し、不眠の原因となる心労や気持ちの高ぶりを抑え、また熱感による不眠を根本から解決します。