前立腺がん
前立腺がん
◆前立腺がんとは◆
前立腺とは膀胱の真下に存在しているくるみほどの大きさの器官です。
男性のみに存在し、男性ホルモンの作用を受けて精液の一部である前立腺液を分泌することが知られていますが、その他の機能については解明されていない部分も多く、未知の臓器といった呼ばれ方をする場合もあります。
前立腺がん(癌)とはこの前立腺に発症するがん(癌)で欧米における男性のがん(癌)の中では最も発症率の高いがん(癌)です。
日本では比較的発症率の少ないがん(癌)とされてきましたが近年になって急にその発症率が増加し、2020年にはその患者数は肺がん(癌)に続いて第2位になるであろうと推測されています。
一般的に加齢と共にその発症率が増加し、特に50歳以上の高齢者における罹患率が高いのが特徴とされていますが、これは食生活を含む生活の欧米化や、平均寿命が延びたことによる高齢者人口の増加、そして検査方法の進歩によるものと考えられています。
また程度の差はあれ、50歳以上の男性のほとんどにおいて前立腺肥大症のような前立腺の異常が表れることから、加齢によるホルモンバランスの乱れもその一因ではないかとされています。
◆前立腺がんの症状◆
一般的な前立腺がん(癌)の症状は排尿困難、頻尿、残尿感などです。
しかし前立腺がん(癌)は前立腺の外側(外腺)に発生するため、初期のうちは尿道や膀胱を圧迫しにくく、はっきりした自覚症状が表れにくいという性質を持っています。
そのためこのような症状が表れた時点ではすでにがん(癌)がかなり進行している場合が多いとされています。
また前立腺がん(癌)は進行すると骨に転移しやすいという特徴があるため、骨に転移した場合には足・腰・背骨などの痛みといったような症状が表れる場合もあります。
◆前立腺がんの症状◆
前立腺がん(癌)の治療には手術療法、放射線療法、内分泌療法(ホルモン療法)、そして待機療法があり、がんの進行や悪性度、患者の健康状態などを考慮して治療法が決められます。
一般的に前立腺がん(癌)は比較的ゆっくりと増殖するという性質を持っています。
そのため早期発見・早期治療による完治の可能性が高いとされており、また治療を行わなくても余命に影響を与えないと判断されるような場合には待機療法と呼ばれる経過観察のみが取られる場合があります。
また、前立腺がん(癌)には男性ホルモンに依存して成長するため、抗がん剤よりもむしろ男性ホルモンの分泌や働きを抑える内分泌療法がよく効くという特徴があります。
また、内分泌療法は転移している前立腺がん(癌)にも有効であるため、完治は不可能であってもかなり長期間日常生活を普通に営むことができるとされています。