乳がん

乳がん

◆乳がんとは◆

乳がんとは乳房組織に発生するがん(癌)のことです。 

主に乳汁を分泌する器官である乳腺組織に発生することから、女性に多くみられるがん(癌)となっており、特にアメリカにおいては約8人に1人が乳がんにかかっているとされるほどです。

日本においても女性のがん(癌)の中で最も患者数が多いもので、現在では約20-30人に1人に乳がんの発症が認められるとされており、さらにその患者数は年々増加傾向にあるとされています。

一般的には30代後半からその発症率の増加が認められ、50歳前後にピークに達した後、閉経後に減少するとされています。

ですが、最近では20代といった低い年齢や、逆に60代といった高い年齢での発症も見られるようになっており、現在では年間で4-5万人が乳がんにかかっていると推定されています。

 

乳がんの発症や増殖には女性ホルモンの一つであるエストロゲンの働きが指摘されています。

実際に体内のエストロゲンレベルが高いことによって乳がんのリスクが高くなることが認められていることから、リスク要因としては初経年齢が早い、閉経年齢が遅い、出産歴がない、初産年齢が遅い、授乳歴がないといった要因や、経口避妊薬の使用や閉経後のホルモン補充療法などが挙げられています。

その他にも飲酒習慣や喫煙、閉経後の肥満などが乳がんの発症リスクを高くすると考えられています。

また、乳がんは遺伝的家系的リスクが大きいとされ、家族内に乳がん患者がいる場合の発症率は、乳がん患者がいない場合の2倍にもなるとされています。

 

◆乳がんの症状◆

乳がんの代表的な症状として、乳房のしこり、えくぼのようなくぼみ、腫れや赤み、乳頭からの分泌物などがあります。

また乳房の付近にあるリンパ節に転移することによるリンパ節の腫れ、リンパ液の流れが妨げられることによる腕の腫れなどが認められる場合もあるとされています。

 

乳がんによる死亡率はその発症率の1/3以下と、がん(癌)の中では比較的高い生存率となっています。

特に早期発見・治療による治癒率は非常に高く、特に乳がんが発生した乳腺の中にとどまっている非浸潤がんにおいては、その治癒率は約100%であるとされています。

ただし、この段階では自己診断による発見は不可能であり、マンモグラフィや超音波装置を用いた乳がん検診によってのみ発見することができるため、定期的な検診を受けることが非常に重要であるとされています。

さらに、最近の乳がん治療の目覚ましい進歩により、再発がんや遠隔転移の認められるものにおいても症状のコントロールが可能となり、長期に渡る普通の生活が送れるようになりつつあるとされています。

 

尚その病名から女性特有の病気といったイメージをもたれやすい乳がんですが、実際には男性においても発症します。

その発症率は極端に低いとされていますが、女性とくらべてその生存率が低いことが知られています。