ロセリル・クリーム0.25%は、白癬、皮膚カンジダ、でんぷうなど、皮膚真菌症の治療に使用する、クリームタイプの抗真菌剤です。
皮膚真菌症は、汗、汚れ、体質などが関係して、カビの仲間である真菌が皮膚の表層にある角質に入りこむことで発症する感染症で、体に取り付くカビ疾患の90%を占めると言われています。中でも代表的な皮膚糸状菌は、ケラチンというたんぱく質を栄養分として繁殖していくため、この成分によって形成されている爪、皮膚の角質、髪の毛などに好んで寄生します。
白癬(はくせん)は、この皮膚糸状菌が原因で起こる皮膚感染症のひとつで、症状の発生する部位によって、足白癬(水虫)、股部白癬(いんきん)、体部白癬(たむし)、頭部白癬(しらくも)などとも呼ばれています。臨床症状は白癬の種類によって異なりますが、円形・不整形の白身を帯びた輪ができる、皮膚の表面がカサカサになりウロコ状になる、小さい水疱やかゆみが生じる、などの症状が現われるのが一般的です。また白癬は人と人、人と動物などの接触によって感染しますが、感染菌自体の感染力はさほど強くなく、空気感染はしません。
また、酵母など球状のカビである分芽菌という真菌に属するカンジダ菌も、人体に影響をおよぼすカビの一種です。カンジダ菌は口中、消化管、膣などに普通に生息しており、普段は人体に対して害を与えませんが、風邪、疲労、ストレスなど体力の低下や、ステロイド、抗生物質の使用などが原因となって抵抗力が低下したり、女性では生理前などで黄体ホルモンの影響によって膣内が酸性になるなどホルモンバランスが崩れると発症し、感染症を引き起こすことがあります。
癜風(でんぷう)は、真菌の一種である癜風菌に感染することにより、主に胸、背中、腕、頚部などの上半身に細かい鱗屑が付着する黒色癜風(痰褐色斑)、または白色癜風(脱色素斑)があらわれる疾患です。特に汗をかきやすくなる春から夏にかけて発症や悪化しやすく、かゆみや赤みをほとんど伴わないために、発症に気づかない場合も多くあります。
このように、真菌は高温多湿な場所を好むため、感染する可能性のある部位を常日頃から清潔に保つだけでなく、通気をよくして乾燥させるなどを心がければ予防することが可能です。しかし、それでも感染した場合には、通常は外用または内服の抗真菌薬を使用して治療します。その治療薬のひとつが、ロセリル・クリーム0.25%です。
真菌は、その形状を保つために細胞膜に被われており、細胞内の生化学反応系を外部から保護する働きを持っていますが、ロセリル・クリーム0.25%の有効成分であるアモロルフィンは、真菌細胞膜の重要な構成成分であるエルゴステロールの合成を阻害することで、抗真菌作用を発揮します。このエルゴステロールはアセチルCoAという物質からいくつかの段階を経てエルゴステロールになりますが、モルホリン系抗真菌剤に属するアモロルフィンは、この過程中の2段階でブロックするため、強力な抗真菌効果が期待できます。
なおロセリル・クリーム0.25%は、白癬菌、カンジダ菌、マラセチアなどの幅広い真菌に対応するだけでなく、ほかの抗真菌薬と作用点が異なる唯一のモルホリン系であるため、従来の抗真菌薬で効果が不充分な場合などにも有効です。