ロコイド・リポクリーム0.1%は、湿疹、皮膚炎、乾癬などにおける、皮膚の炎症やかゆみなどの症状を抑える、副腎皮質ホルモン(ステロイド)の外用薬です。ステロイドの強度が穏やかであるため、比較的症状が軽い場合や、顔、首などデリケートな部分への使用に最適です。
ステロイドは副腎から分泌される代表的なホルモンで、副腎にある髄質と皮質からそれぞれ別のホルモンが分泌されますが、このうち皮質から放出されるグルココルチコイドには、強力な抗炎症作用と免疫抑制作用があります。このグルココルチコイドの効果を強め、人工的に合成したものがステロイド外用薬です。分子のサイズが小さく脂溶性であるために、皮膚から急速に吸収され、高い即効性を発揮するという特徴を持っています。
細胞が炎症を起こすと、そこでプロスタグランジンやロイコトリエンという物質が合成され、細胞外に放出されます。すると白血球や免疫系の細胞が集まり、ヒスタミン、サイトカインなどといったさまざまな物質を分泌することで腫れや痛みなどの炎症反応が起こります。また、痛みとかゆみは複雑に関係し合っていると言われており、かゆみを引き起こす物質のひとつであるヒスタミンが痛みを引き起こす神経を刺激したり、またその反対に痛みの原因となっているブラジキニンやカプサイシンなどの物質が同時にかゆみに関わる神経を活動させたりしています。
この働きを抑えて炎血管透過性の亢進などを抑制することで、炎症反応を緩和させる働きを持つのがロコイド・リポクリーム0.1%です。
ヒドロコルチゾンは、別名コルチゾールとも言われるグルココルチコイドの一種で、炭水化物、脂肪、およびたんぱく代謝を制御し、生体にとって必須のホルモンです。医薬品としてのヒドロコルチゾンは、炎症反応を強力に抑制し、炎症すべての過程に作用するため、急性炎症、慢性炎症、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、ショック、痛風、急性白血病、移植片拒絶反応などの治療効果がありますが、その中でも酪酸ヒドロコルチゾンは、主に湿疹や皮膚炎の治療に使用されます。
なお酪酸ヒドロコルチゾンは、有効性と安全性を兼ね備えたアンテドラッグです。塗布された後、皮膚の表面で優れた作用を発揮しますが、体内に吸収されると作用の弱い物質に分解されるという特長を持っています。つまり、薬の効果が必要な部分にだけ作用し、それ以外の部分については副作用の発生を軽減させるため、全身性の副作用の発現はほぼ皆無とされています。