レモゼン100mgは、糖尿病の治療薬です。日本では未承認の医薬品となりますが、主成分であるレモグリフロジンエタボネートは、日本の企業であるキッセイファーマシューティカルによって発見されました。インドではすでに糖尿病の治療薬として販売されています。
糖尿病は、インスリンの働きが弱くなったり、十分量のインスリンが分泌されなくなったりすることで、血中の糖分が増えてしまう疾患です。血糖値が高い状態が続くと、血管がボロボロになったり腎臓に負担がかかったりするため、早い段階で血糖値を下げなければなりません。糖尿病になると神経障害や網膜障害、腎障害といった3大合併症を起こしやすいことが特徴です。
糖尿病とひとくちで言うことが多いですが、厳密には1型糖尿病と2型糖尿病とにわけられます。糖尿病患者の約95%は2型糖尿病です。1型糖尿病は若い世代に発症しやすく、生活習慣は関係なくインスリン分泌が低下することで起こります。一方で2型糖尿病は、中高年に多く、主に生活習慣が原因となって発症するものです。レモゼン100mgは、この生活習慣が原因となりやすい2型糖尿病の治療に用いられています。
レモゼン100mgはSGLT2阻害薬といって、比較的新しい作用機序を持ったお薬です。SGLTは近位尿細管に存在しており、血中グルコースを尿中に排出しないように再吸収する働きを持っています。健康な方であればSGLTがしっかりとグルコースを再吸収してくれるので、尿中に糖が混ざることはありません。しかし糖尿病の方は、SGLTの能力を超えるグルコースが血中に含まれているため、再吸収しきれずに尿へ糖分が溢れ出てしまいます。だから糖尿病患者の尿は甘いにおいがするのです。
血糖値を下げるためにはこのSGLTの働きを抑えてあげる必要があります。グルコースが再吸収されるということは、体に糖分が残ることを意味するので、尿中に出してしまったほうが良いのです。インスリン分泌に影響することなく血糖値を下げることができるので、低血糖のリスクが従来の医薬品と比べると低くなっています。
レモゼン100mgはメトホルミンとの併用も推奨されています。メトホルミンはインスリン抵抗改善薬に分類される医薬品で、インスリンが効きやすい状態にしてくれる治療薬です。この2つを併用することで、食事療法や運動療法の補助剤として使えることがわかっています。